MA/SFA/CRM公開日 2026.10.20 / 更新日 2026.10.21

人材紹介のAI活用ガイド|業務別の使い方、人が担う仕事、AI搭載システム

監修:髙山 博樹(ナウビレッジ株式会社 取締役CGO)

Summaryこの記事の要約

  • 人材紹介のAI活用とは、下書きや記録の更新をAIが作り、人が確かめて承認する流れに業務を組み替え、CAとRAが求職者や企業と向き合う時間を増やすことです。
  • AIに任せやすいのは、面談の文字起こしと要約、推薦状や求人票の下書き、ブログやSNS投稿・求人広告の下書き、条件に合う候補の一覧づくりです。
  • 推薦するかどうか、どう伝えるか、条件の交渉は人が決めます。AIが作った下書きや記録の更新案も、担当者が承認してから送ったり保存したりします。
  • AIは今の作業を助けるだけでなく、すべての面談記録から傾向を探すなど、これまで手が回らなかった取り組みも可能にします。
  • AIの答えの質は、AIに渡すコンテキスト(判断の背景となる情報)で決まります。職種・勤務地・選考段階など、あらゆるデータの形式をそろえ、記録どうしをつなげてからAIを載せます。
目次

AIが人材紹介でいま大きく変えているのは、条件で探す・書き写す・下書きするといった作業で、CAとRAの役割は人にしかできない仕事へ移りつつあります。

人材紹介のAI活用とは、下書きや記録の更新をAIが作り、人が確かめて承認する流れに業務を組み替え、CAとRAが求職者や企業と向き合う時間を増やすことです。

AIの答えの質は、AIに渡すコンテキストで決まります。コンテキストとは、AIが判断や下書きに使う背景の情報のことです。誰が・いつ・どんな経緯で・どの求人や企業とつながっているかが、記録としてそろっている状態を指します。そのためナウビレッジは、AIのツールを入れるだけで終わらせず、求職者のデータベースを整えるところから支援しています。

この記事は、人材企業の支援実績が150社以上(2026年10月時点)あるナウビレッジがまとめました。

こんな方に向けて書いています

  • AIで人材紹介が淘汰されないか気になる経営者の方
  • AIをどの業務から使えばよいか迷っている方
  • AIのツールを入れたが、現場で使われていない方

この記事では、人材紹介の業務のどこで・どうAIを使うかに絞ってお伝えします。どのシステムを選ぶかは、人材紹介システム・CRMの比較と選び方で扱っています。

150社以上の人材企業の支援実績

AI搭載のCRM「HubSpot」で、人材紹介の事業をもう一段伸ばしませんか。

ナウビレッジは、人材紹介でのHubSpotの導入とAIの活用を支援しています。書類や記録の手間をAIに任せ、CAとRAが面談や企業との対話に時間を使える形を、今の業務に合わせてご提案します。

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AIで人材紹介は淘汰されるのか:いま変わっているのは、主に作業

AIがいま大きく変えているのは、条件で探す・書き写す・下書きするといった作業で、人の役割は人にしかできない仕事へ移りつつあります。

条件だけで求人と求職者を結ぶ作業は、AIでもできるようになってきました。そのため、書類づくりや記録の入力に多くの時間を使っている会社ほど、AIを使う会社との差が出やすくなります。

一方で、転職は本人にとって大きな決断であり、求職者は自分の希望をはっきり言葉にできていないことが多くあります。話を聞きながら本当の希望を引き出し、企業の採用の事情と合わせて提案する場面では、CAとRAの役割がより大きくなります。内定のあとに迷う人の相談に乗ることや、年収や入社日の調整も、相手の事情を知る人が受け持つ仕事です。

業界がこの先どう変わるかを言い切ることはできませんが、ナウビレッジは、差を分けるのはAIで空いた時間を何に使うかだと考えています。具体的には、面談の数を増やす、企業とのやり取りを深める、過去の登録者に声をかけるといった、人にしかできない仕事に時間を回せるかどうかです。

AIに任せる仕事と、CA・RAにしかできない仕事

AIに任せるのは「下書き・整理・検知」で、人が受け持つのは「聞く・決める・口説く」と、AIが作ったものの承認です。

人材紹介の7つの業務(集客・登録後の対応・面談・書類・マッチング・求人開拓・経営の数字)ごとに、AIが作るもの(ブログやSNS投稿・求人広告の下書き、面談の要約、推薦状の下書き、候補の一覧、決まらなかった原因の分析など)と、人が決めて承認すること(伝える内容、推薦、原因への打ち手など)を上下に分けた図。AIが作り、人が承認する流れを示す
業務ごとに、AIが作るところと人が決めて承認するところを分ける

業務ごとに、AIに任せることと人が決めることを分けると、次のようになります。

業務 AIに任せること 人が決めること・承認すること
集客 ブログやコラムの下書き、SNS投稿・求人広告の文面、ランディングページの下書き 伝えるメッセージ、事実の確認、公開の承認
登録後の対応 返信文の下書き、よくある質問への回答、担当の割り当て 最初の電話、急いでいる人の見極め
面談 文字起こし、要約、記録の項目の更新案 本音や迷いを聞く、キャリアの助言、更新案の承認
書類 推薦状・求人票の下書き、受け取った書類の項目の整理 文面の確認、事実との照合
マッチング 条件に合う候補を並べる、決まらなかった・辞退された原因の傾向を出す 推薦するかどうか、本人の意向の確認、原因への打ち手
求人開拓 企業の情報の調査と更新 どの企業に何を話すか、採用要件のすり合わせ
経営の数字 集計、レポートの下書き どこに手を打つか、人と予算の配分

どの業務でも、流れは「AIが作り、人が承認する」です。AIは記録にない事実を書いてしまうことがあるため、AIが作った下書きや更新案は、担当者が確かめて承認してから送ったり記録に残したりします。とくに推薦状や求職者への連絡は相手に直接届くので、送る前に必ず担当者が読みます。

業務別:人材紹介でAIを使う7つの場面

AIを使う場面は集客から経営の数字まで7つあり、どの場面でも、AIが作ったものを誰が承認するかを先に決めておきます。

1. 集客:ブログ・SNS投稿・求人広告の下書きをAIで作る

集客のコンテンツづくりはAIが得意な作業で、ブログやコラムの下書き、SNS投稿、求人広告の文面、ランディングページの下書きまで任せられます。AI搭載のCRMやマーケティングのツールには、エディターの中でブログやメールの本文をAIに書かせられるものがあります。公開済みの記事をもとに、SNS投稿の下書きを作らせるのも手間を減らす方法です。

どの方法でも、伝えるメッセージを決め、事実を確かめて公開を承認するのは人の役割です。とくに求人広告は、賃金や勤務地などの条件が企業から受けた求人の内容と合っているかを確かめます。

AIの回答で選ばれるための取り組み(AEO)やChatGPT広告など、集客の手段ごとの比べ方は人材紹介の集客方法で解説しています。

2. 登録後の対応:面談の予約までを早くする

登録から面談の予約までは、早く連絡できるかどうかで結果が変わります。そのため、担当CAの割り当てや面談前のリマインドは、AIを使う前に、決まった手順として自動で動く仕組みにしておきます。

AIが役に立つのは、文面づくりと問い合わせへの回答です。システムによっては、記録の内容をもとにAIがメールの下書きを作れます。その場合も、担当者が確かめてから送ります。自社のFAQなどをもとに問い合わせに答えるAIもあり、求職者からのよくある質問への一次対応に使えます。

3. 面談の記録と要約:AIが記録の更新案を作り、CAが承認する

面談の記録は、入力の手間が減るぶんCAが話に集中しやすくなるため、AIの効果が分かりやすい場面です。AI搭載のCRMや会議のツールには、オンライン会議や電話を録音し、文字起こしと要約を作れるものがあります。

さらに、録音の内容から記録の項目の更新案をAIが作り、CAが確かめて承認してから反映する流れにすれば、AIが作り、人が承認する形をそのまま組めます。どの項目は自動で反映し、どの項目は承認を経てから記録に入れるかを、先に決めておきます。

録音する前には、求職者に録音することを伝え、了承を得ておきます。また、要約は文章のままでは検索や集計に使いにくいため、希望年収や転職の時期などの項目に移してから活用します。

4. 書類:推薦状・求人票の下書きと、履歴書の取り込み

推薦状や求人票は、記録にある情報をもとにAIが下書きを作り、CAやRAが確かめて仕上げます。書き出しを考える時間が減るぶん、事実との照合や表現の確認に時間を使えます。

受け取った履歴書から経歴や資格を読み取り、記録の項目に移す作業も、AIで手間を減らせます。システムによっては、取り込んだ書類をAIが読み、項目に値を入れられるものもあります。AIが読み取った値にも誤りは起こりうるため、入った値は担当者が確かめてから使います。

キャリアシートや推薦状は、社内で書式を決め、記録の情報をその書式に当てはめて作るようにすると、体裁の手直しを毎回しなくて済みます。

5. マッチング:候補を並べ、決まらなかった原因から学ぶ

条件に合う求人や求職者を探す作業は、条件の書き方さえそろっていれば、AIや業務システムに任せやすい作業です。求職者に合う求人を探すときも、求人に合う求職者を探すときも、同じ条件の項目で絞れるようにしておくと、CAとRAが同じ候補の一覧を見ながら話せます。

勤務地までの距離や通勤の時間も、候補を選ぶときに確かめておきたい条件です。システムによっては、住所と勤務地を地図に出し、距離で絞り込めるものもあります。

決まらなかった・辞退された原因の分析も、AIが助けやすい作業です。まず、選考の結果と辞退・不合格の理由は、メールや通話・面談の文字起こし、これまでの記録からAIが読み取り、項目に入れます。入った値は担当者が確かめて承認し、そのうえで記録として確定させます。結果と理由がそろえば、AIに記録を要約・分類させて、職種や年収帯ごとの傾向を出せます。その傾向をどう読み、紹介の仕方や求人の選び方をどう変えるかは、CAとRAが判断します。

6. 求人開拓:企業を調べ、情報を新しく保つ

RAの営業は声をかける時期で結果が変わるため、採用を強めている企業を早く見つけ、情報を新しく保つことが大切です。AIに企業のニュースや採用の動きを調べさせれば、人が一社ずつ調べる手間を減らせます。システムによっては、会社の項目を自動で埋められるものもあります。

ただし、AIが用意するのは候補の企業と話のきっかけまでです。どの企業に、どの順で、何を話すかは、相手の事情を知るRAが決めます。

7. 経営の数字:面談率・面談原価・決定原価を毎週見る

人材紹介の経営で見たい数字は、面談率、面談1件あたりの費用(面談原価)、決定1件あたりの費用(決定原価)です。これらを集客の経路ごと、CAごとに並べると、どこに手を打つべきかが分かります。

集計そのものはCRMのダッシュボードで自動にできるので、AIには、数字が動いた理由を探す手伝いをさせます。たとえば、辞退の理由をAIで分類しておけば、どの段階で人が離れているかを数字で追えます。

面談率と面談原価の考え方は、人材紹介マーケティング大全と人材紹介の集客方法で詳しく扱っています。

AIで新しくできるようになること

AIは今ある作業を助けるだけでなく、人の手では追いきれなかった記録の分析や、時間と人数の壁で諦めていた対応を可能にします。

これまでは、すべての面談記録を読み返したり、一人ひとりに合わせた連絡を考えたりするには、人の時間が足りませんでした。AIが下書きと整理を受け持つことで、次のような取り組みに手が届くようになります。

1. すべての面談記録から、決まりやすい組み合わせを探す

面談の記録は、これまで担当のCAしか読み返さないことがほとんどでした。AIで記録を要約・分類すれば、会社全体の記録から傾向を探せます。どのような求職者と求人の組み合わせが決まりやすいか、どこで辞退が起きやすいかといった傾向です。

ただし、AIが示すのは傾向の候補です。なぜそうなるのかを読み解き、紹介の仕方を変えるのはCAとRAの役割です。

2. 採用を強めている企業を早く見つける

企業のニュースや求人の出し方の変化を、人が毎日追い続けるのは現実的ではありませんでした。AIに企業の情報を定期的に調べさせ、採用を強めている兆しを知らせる仕組みにすれば、RAは声をかける時期を逃しにくくなります。

3. 夜間や休日の登録にも、すぐに返信する

夜間や休日に登録した人には、翌営業日まで連絡できないことがありました。AIが返信の下書きを作り、面談の日程の案内のような決まった内容は、ルールに沿ってそのまま送れます。一方で、個別の相談への返事は担当者が承認してから送るというように、どこで人が承認するかをルールで分けておきます。

4. 過去の登録者に、一人ひとりに合わせた連絡を送る

過去に登録した人へ連絡するときは、同じ文面を一斉に送るのが精いっぱいでした。AIを使えば、希望の職種や前回の面談の内容に合わせて、一人ひとり違う文面の下書きを、多くの人に向けて作れます。送る前には、担当者が送り先の条件と、連絡を受け取る同意があるかを確かめ、文面を承認してから送ります。

5. 面談の進め方を、新しいCAが学べる形で残す

成果を上げているCAの聞き方や提案の仕方は、これまで本人の経験の中にあり、新しいCAには同席や口頭で伝えるのが中心でした。面談の記録や文字起こしをAIで整理すれば、よく出る質問や、迷っている人への声のかけ方を、読める形にまとめられます。まとめた内容が実際の面談に合っているかは、経験のあるCAが確かめてから社内で共有します。

どの取り組みも、AIに渡すコンテキストがそろっていることが前提です。面談の内容や選考の結果が人によって違う形で残っていたり、求職者と求人の記録がつながっていなかったりすると、AIは傾向を正しく出せません。そのため、まずあらゆるデータの形式をそろえ、記録どうしをつなげておきます。

AIマッチングとAIエージェント:できること、限界、人の確認

AIマッチングとAIエージェントが得意なのは、候補を並べることと決まった手順を進めることで、推薦するか、どう伝えるかは人が決めます。

AIマッチングの流れの図。1 条件をそろえる、2 AI・システムが候補を並べる、3 CAが本人の意向と企業の事情を確かめる、4 推薦する、5 選考の結果と辞退・不合格の理由をAIが記録から入れ、人が承認して残し、次の候補選びに生かす
AIは候補を出すまで。推薦はCAが確かめてから決める

AIマッチングでできること

AIマッチングは、職種・勤務地・年収・経験などの条件から、合いそうな求人や求職者を並べる仕組みです。条件で機械的に絞り込むので、人が一覧を見比べるより速く、見落としも減ります。なかには、候補ごとに理由を添えて示せる仕組みもあります。

また、選考の結果と辞退の理由をAIが記録から読み取り、担当者が承認して残しておけば、決まらなかった組み合わせの傾向をAIで洗い出せます。傾向をどう読み、何を変えるかは、CAとRAが判断します。

AIマッチングの限界

  • 記録にない情報は見えない:本人の迷い、職場の雰囲気、上司との相性は、記録に残っていなければ使えません。
  • 書き方がばらばらだと漏れる:「営業」「法人営業」「セールス」が別々に入っていると、合う候補が出てきません。
  • 過去の結果に引っ張られる:これまでの決定の傾向に寄った候補になりやすく、新しい組み合わせが出にくくなります。

AIエージェントでできること

AIエージェントは、目的と手順を渡すと、決めたルールの範囲でAIが作業を進める仕組みです。AI搭載のCRMや業務システムの中には、定型の作業をエージェントに任せられるものがあります。扱うデータや答え方を決めて、自社用のエージェントを作れるものもあります。どのエージェントや機能を組み合わせるのがよいかは、会社ごとの業務や契約、設定によって変わります。

エージェントのなかには、作ったメッセージを1通ずつ人が確かめてから送るか、自動で送るかを選べるものもあります。求職者や企業への連絡は相手の目に直接触れるため、最初はAIが作り、人が承認してから送る設定にしておくと安心です。

推薦の前に、人が確かめる3つの点

  1. 事実:AIの書いた推薦状や要約が、面談の記録や本人の書類と合っているか。
  2. 意向:条件に合っていても、本人がその求人を望んでいるか。
  3. 公平さ:性別や年齢など、選考に関係のない条件で候補を絞っていないか。

マッチングの結果と、選考の結果・辞退の理由を記録に残すと、次の候補選びの精度が上がります。記録の持ち方は、人材紹介の業務をCRMで回す方法で解説しています。

人材紹介でAIを使うときのリスクと守ること

求職者の情報を扱う人材紹介では、AIを使う前に、個人情報・データの扱い・正確さ・公平さ・権限の5つを押さえておきます。

どれも、人材紹介会社がこれまで守ってきたルールの延長にあるものです。ただ、AIに情報を渡す場面が増えるぶん、どこで誰が確かめるかを先に決めておくことが大切です。

1. 個人情報:利用目的の範囲で使い、AIに入れる情報を決める

求職者の個人情報は、個人情報保護法に加えて、職業安定法と厚生労働省の指針のルールのもとで扱います。指針では、求職者の個人情報は業務の目的の達成に必要な範囲で集め、保管や使用も集めた目的の範囲に限るとされています。

個人情報保護委員会の注意喚起は、生成AIに個人情報を含むプロンプトを入れる場面について注意を促しています。具体的には、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう求めています。本人の同意なく入力した個人データが、応答の出力以外の目的で扱われると、個人情報保護法に違反する可能性があるとも指摘しています。

そのため、AIに渡してよい項目を社内で決め、求職者に示している利用目的と合っているかを確かめておきます。人種や本籍、思想・信条など、指針で原則として集めてはならないとされている情報は、そもそも記録に残しません。

2. AIの提供元のデータの扱い:学習に使われるかを契約で確かめる

AIのツールを選ぶときは、入力したデータがAIの学習に使われるか、どこで処理されるかを、利用規約や契約で確かめます。個人情報保護委員会の注意喚起も、提供事業者が入力された個人データを機械学習に使わないことなどを十分に確認するよう求めています。

AI搭載のCRMや業務システムの中には、自社のデータをAIの改善に使うかどうかを、設定で選べるものがあります。AIが参照できるデータの種類を絞れるものもあります。導入するときは、こうした設定があるか、初めの設定がどうなっているかを確かめておきます。

3. 正確さ:AIが作った下書きは、人が承認してから送る

生成AIは、記録にない内容や不正確な情報を出力することがあります。個人情報保護委員会の注意喚起も、不正確な個人情報が出力されるおそれを挙げています。そのため、AIが作った下書きは、担当者が事実と照らし合わせて承認してから送ります。照らし合わせる先は、推薦状なら面談の記録や本人の書類、求人票や求職者への連絡なら企業から受けた求人の内容です。

とくに労働条件は、職業安定法で求職者に明示することが定められており、同じ指針では虚偽や誇大な内容にしてはならないとされています。2024年4月からは、業務や就業場所の変更の範囲なども明示する項目に加わりました。AIで求人票を下書きするときも、賃金や勤務地などの条件は、元の求人の内容から変えないようにします。

4. 公平さ:選考に関係のない条件でAIに絞らせない

厚生労働省は公正な採用選考の基本として、応募者に広く門戸を開き、適性・能力に基づいた基準で選ぶことを求めています。同省のよくある質問では、AIの活用を含むどのような方法による選考でも、この考え方を守る必要があるとされています。

本籍や家族のことなど本人に責任のない事項や、宗教や支持政党など思想・信条に関わる事項は、採否の判断材料にしないとされています。AIに候補を並べさせるときも、性別や年齢、家族の状況などを絞り込みの条件にしないよう設定し、推薦するかどうかは最後にCAが決めます。

5. 権限と記録:誰がどの求職者の情報を見られるかを決める

職業紹介事業者は、指針にもとづき、個人情報適正管理規程をつくることとされています。規程には、個人情報を取り扱うことができる者の範囲などを定めます。AIを使うときも、この規程に合わせて、誰がどの求職者の情報を見られるかを決めておきます。

CRMや業務システムを選ぶときは、ユーザーごとに見られる記録の範囲を決められるかを確かめます。閲覧やエクスポートの操作が記録に残るかどうかも、あわせて確かめておきます。担当者が退職や異動をするときは、担当している記録を別のユーザーに移したうえで、ログインできないようにします。

AIを入れる前のチェックリスト

AIを業務に入れる前に、次の点を社内で確かめておきます。

  • 求職者に示している個人情報の利用目的に、AIでの処理が含まれているか
  • AIに入れてよい項目と、入れない項目を決めたか
  • 使うAIのツールが入力したデータを学習に使うか、どこで処理するかを、規約や契約で確かめたか
  • 推薦状・求人票・求職者への連絡や、AIが出す記録の更新案を、誰が承認するかを決めたか
  • 求人票の労働条件を、企業から受けた求人の内容と照らし合わせる手順があるか
  • 性別・年齢・家族の状況などで候補を絞らない設定になっているか
  • 誰がどの求職者の情報を見られるか、権限を設定したか
  • 退職や異動のときに、ユーザーを無効にする手順を決めたか

ナウビレッジが、AIの前にデータの土台と、人が承認する場面から整えるのは、こうしたリスクがあるためです。どの情報をどこで持つかが決まっていれば、AIに渡す項目も、見られる人の範囲も、確かめる担当者も決めやすくなります。

この章は、公的機関の公開情報(2026年10月20日確認)をもとにした一般的な説明です。個別のケースでの判断は、所轄の労働局や弁護士などの専門家にご確認ください。

人材紹介でAIを使い始める5つの手順

最初に決めるのは、使うAIのツールではなく、AIに任せる作業と、その作業に必要なデータです。

  1. 時間がかかっている作業を書き出す:CAとRAの1週間の仕事を並べ、入力・転記・書類づくりにかかる時間を確かめます。
  2. AIに任せる作業と、人が承認する場面を決める:作業ごとに、AIが作った下書きや更新案を、誰が、いつ承認するかを決めます。
  3. データの形式をそろえ、コンテキストをつくる:どの情報をどこで持つのが「正」かを決め、職種・勤務地・選考段階など選択肢にできる項目をそろえます。重複をまとめ、求職者・求人・企業・応募の記録をつなげて、AIが背景をつかめるようにします。
  4. 1つのデータベースにまとめ、AIを設定する:求職者・求人企業・求人・応募を、AI搭載のCRMなど1つの場所にまとめます。そのうえで、AIを業務の流れに合わせて組みます。
  5. 数字で効果を確かめる:面談率・面談原価・決定原価と、CAが面談に使えた時間を、使う前と比べます。

求職者の個人情報をAIに渡す前には、どの情報をAIに使わせるか、使うツールがデータをどう扱うかを確かめておきます。決めた内容は社内のルールにし、確かめる点は前の章のチェックリストを参考にしてください。

150社以上の人材企業の支援実績

HubSpotのAIを、CA・RAが毎日使う形に落とし込みませんか。

AIを試してはみたものの、現場の業務に定着しない…。HubSpotのAIを日々の記録や連絡の流れに組み込み、CAとRAが自然に使える形まで一緒に整えます。

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ナウビレッジは、HubSpotのAIと自社の拡張アプリで組み立てます

ナウビレッジは、人材紹介の7つの業務を1つのHubSpotにまとめ、HubSpotのAIと自社の拡張アプリを組み合わせて、AI活用を形にしています。

人材紹介の7つの業務(集客・登録後の対応・面談・書類・マッチング・求人開拓・経営の数字)が、すべてHubSpot CRMの上で動くことを示す図。業務ごとに、HubSpotの機能とAI(マーケティング機能とAIの下書き、ワークフローでの自動割り当てとAIのメール下書き、会議の録音・要約と項目の更新案、AIによるPDFの読み取り、AIでの辞退理由の分類、AIでの企業の調査と会社の項目の自動入力、ダッシュボード)と、ナウビレッジの拡張アプリ(書類はPDF Extension、マッチングはMatching ExtensionとMAP Extension)を示す。どの業務も、AIが作り、人が承認する
人材紹介の7つの業務を、1つのHubSpotで受け持つ

ナウビレッジの支援の範囲は、HubSpotと、HubSpotに搭載されたAI、HubSpotの上で動く自社の拡張アプリです。

ナウビレッジはHubSpot Diamond Partnerです。パートナー表彰の「AI Excellence」部門では、国内1位・アジア太平洋地域4位に選出されました。表彰の名前はHubSpot Solutions Partner Impact Awards(2025年度パフォーマンス)で、2026年2月に発表されています。

HubSpotのAIで、人材紹介の業務にできること

HubSpotのAIは、人材紹介の業務に合わせてカスタマイズして使います。記録の項目、AIへの指示(プロンプト)、承認のルール、エージェントの動きなどを、業務の流れに合わせて設定します。主な使い方と、人が承認するところは次のとおりです。

AIでできること 人材紹介での使い方の例 人が承認すること
要約:記録やメモ、やり取りを要約する 面談の前に求職者の経緯をつかむ 要約が記録と合っているか
下書き:メール・ブログ・ページ・SNS投稿の文面を作る 求職者への連絡、求人広告、ブログの下書き 送る・公開する前の文面
項目の入力と更新案:会議の録音、メールや通話の記録、ファイルから項目の値や更新案を出す 面談の内容や履歴書、選考の結果と理由を記録に入れる 記録に反映する値
調査:企業のニュースや使っている技術を調べる 求人開拓の前に企業を調べる どの企業に何を話すか
重複の検知:重複しそうな記録や書式の問題を見つける 同じ求職者や企業の二重登録を防ぐ どの記録にまとめるか
エージェント:決めたルールの範囲で作業を進める よくある質問への一次対応、定型の作業 任せる範囲と、人が承認する場面

たとえば面談では、会議の録音から文字起こしと要約を作り、記録の項目の更新案を出します。CAが値を確かめて承認や修正をしてから記録に入るので、入力の手間を減らしながら記録の正しさを保てます。

書類では、スマートプロパティーという機能で、アップロードした履歴書のPDFをAIが読み、項目に値を入れられます。同じ機能で、メールや通話・会議の文字起こし、メモから、選考の結果や辞退の理由を読み取らせることもできます。ナウビレッジは、AIが入れた値を担当者が確かめて承認してから、選考の記録として確定させる流れに組みます。

集客では、ブログ・メール・ページの本文や、公開済みの記事をもとにしたSNS投稿の下書きをHubSpot搭載のAIで作り、担当者が確かめてから公開します。

人材紹介ならではの作業は、拡張アプリで補う

求人と求職者を結ぶ、通勤で絞る、決まった書式の書類を作るといった人材紹介ならではの作業は、ナウビレッジの拡張アプリで補います。

アプリ できること
Matching Extension 求職者と求人を両方向に検索し、応募の記録をまとめて作る
MAP Extension 住所や勤務地を地図に出し、半径や移動時間で絞り込む
PDF Extension 記録の情報から、推薦状・求人票・キャリアシートをPDF・Word・Excelで作る

通勤のしやすさで絞りたいときは、MAP Extensionで求職者の住所と勤務地を地図に出し、距離で絞り込みます。キャリアシートや推薦状は、PDF Extensionで記録の情報を決まった書式に差し込んで作ります。

AIと拡張アプリは同じデータの上で動くため、組み合わせて使えます。たとえば、AIで下書きした推薦状は、担当者が承認したうえでPDF Extensionの書式に流し込みます。Matching Extensionで並べた候補は、CAが確かめてから推薦します。

AIの答えは、コンテキストで決まる

AIを使うための4つの層の図。下から、1 データの形式をそろえ、記録をつなげてコンテキストをつくる、2 求職者・求人企業・求人・応募を1つのHubSpotにまとめる、3 拡張アプリ(Matching Extension・MAP Extension・PDF Extension)、4 HubSpotのAI(要約・下書き・項目の入力と更新・調査・重複の検知・ルールで動くエージェント)。1から積むとAIが作ったものを人が確かめて承認しやすく、4から入れると答えも集計もずれる
AIは、コンテキストがそろったデータの上でこそ働く

私たちがお勧めしないのは、データの形式をそろえないまま、一度にHubSpotへ入れてしまうことです。形式がそろわないまま入れると、同じ会社や求職者が重複し、職種や勤務地の書き方も人によってばらばらになります。記録どうしもつながらないため、AIは誰がどんな経緯でどの求人とつながっているかをつかめず、要約や候補の提示がずれます。

そのため、入れる前に、どの情報をどの記録で持つのが「正」かを決めます。あわせて、職種・勤務地・選考段階・辞退理由など、選択肢にできる項目は自由入力にせず、あらゆるデータの形式をそろえます。そのうえで、求職者・企業・求人・応募の記録をHubSpotの中でつなげ、AIが使えるコンテキストをつくります。

どの機能とアプリを組み合わせるのがよいかは、会社ごとの業務やデータの持ち方、契約によって変わります。そのため、ナウビレッジは今の業務の流れを伺ったうえで、AIに任せる作業と人が承認する場面を一緒に設計します。

AIの機能の全体像はMarketing Spotの解説記事に、業務の回し方は人材紹介の業務をCRMで回す方法にまとめています。

機能の内容は、2026年10月20日時点の公開情報をもとにしています。使える機能は、契約や設定によって変わります。

150社以上の人材企業の支援実績

HubSpotとHubSpotのAIで、人材紹介の業務を組み立てませんか。

ナウビレッジは、HubSpotと、HubSpotに搭載されたAI、自社の拡張アプリでの業務づくりを支援しています。データの持ち方から、AIに任せる作業と人が承認する流れまで、人材紹介の業務に合わせてご提案します。

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AIの土台となるデータを整えた支援事例

ナウビレッジは、人材紹介会社のデータを1つのCRMにまとめ、AIや拡張アプリを使える土台を整えてきました。

株式会社ミギナナメウエ様:CA1名当たりの決定人数が120%UP

同社は、候補者・求人・企業・選考をスプレッドシートで管理していました。ナウビレッジは、それぞれの記録とつながりを定義してHubSpotに組みました。タスクの自動割り当てやリマインド、歩留まりとリードタイムのダッシュボードも用意しています。

結果として、CA1名当たりの決定人数が120%UP、決定率が140%UPとなりました(ミギナナメウエ様の事例)。

Blackbelt株式会社様:Salesforceから移り、二重管理と手作業をなくす

ヘルスケア業界に特化した人材紹介会社の同社は、Salesforceに加え、Notionでも選考を管理していました。HubSpotへの移行にあわせて、候補者と企業の担当者を1つのコンタクトで管理する形に整えました。Matching Extensionでの検索や、週次のKPIダッシュボードも組んでいます。

Notionとの二重管理は不要になりました(Blackbelt様の事例)。

いずれも個別の事例であり、同じ成果を約束するものではありません。

よくある質問

Q.AIで人材紹介は淘汰されますか?

業界全体の先行きは言い切れませんが、いまAIで置き換わりつつあるのは、条件での検索や記録の入力、書類の下書きといった作業です。そのため、空いた時間を求職者の本音を聞く面談や企業との関係づくりに回せるかどうかで、会社ごとの差が出やすくなります。

Q.AIで、これまでできなかったことは何ができるようになりますか?

すべての面談記録から決まりやすい組み合わせを探すことや、夜間や休日の登録にすぐ返信することなどです。過去の登録者一人ひとりに合わせた連絡や、面談の進め方を新しいCAが学べる形で残すことにも手が届きます。どれも人の時間が足りずに難しかったことで、相手に届く連絡は担当者が承認してから送ります。

Q.AIマッチングの精度は、どうすれば上がりますか?

精度を左右するのは、仕組みそのものより、AIに渡すコンテキストがそろっているかどうかです。「営業」と「法人営業」が別々に入っているだけで合う候補が漏れるため、まず選択肢をそろえ、求職者と求人の記録をつなげます。さらに、選考の結果と辞退の理由をAIが記録から読み取り、担当者が承認して残しておくと、決まらなかった組み合わせの傾向を次の候補選びに生かせます。

Q.求職者の個人情報をAIに入れても大丈夫ですか?

入れてよいかは、求職者に示した利用目的の範囲内か、使うツールが入力したデータを学習に使わないかを確かめてから判断します。個人情報保護委員会も、生成AIに個人情報を入れる場面では、利用目的の範囲内かを十分に確認するよう求めています。そのうえで、AIに入れてよい項目を社内で決め、面談を録音するときは求職者の了承を得ておきます。

Q.AIが作った推薦状や連絡文は、そのまま送ってもよいですか?

そのまま送らず、担当者が確かめて承認してから送ります。AIは記録にない内容を書くことがあるため、推薦状は面談の記録や本人の書類と、労働条件は企業から受けた求人の内容と照らし合わせます。

Q.AIエージェントに、人材紹介の業務をどこまで任せられますか?

任せられるのは、よくある質問への一次対応や定型の連絡のように、手順とルールを決められる作業です。推薦するかどうかや条件の交渉のように、相手の事情を踏まえた判断は人が担います。相手に直接届く連絡は、最初は人が承認してから送る設定にしておくと安心です。

Q.HubSpotのAIで、人材紹介の業務の何ができますか?

面談の要約や記録の更新案、推薦状やメールの下書き、企業の調査などができます。項目や承認のルールなどを人材紹介の業務に合わせてカスタマイズして使い、求人と求職者の検索などはナウビレッジの拡張アプリで補います。詳しくは、ナウビレッジの組み立て方の章で紹介しています。

Q.人材紹介でAIを使うには、何から始めればよいですか?

まず、CAとRAの時間がかかっている作業を書き出し、AIに任せる作業と人が承認する場面を決めます。次に、職種・勤務地・選考段階などデータの形式をそろえ、重複をまとめて記録どうしをつなげます。スプレッドシートで管理している場合は、1つのデータベースにまとめてからAIを載せると、要約や候補の提示がずれにくくなります。

まとめ:AIが作り、人が承認する流れを、データの土台の上に組む

AIでいま大きく変わるのは人材紹介の作業であり、AIが作り人が承認する流れに組み替えることで、CAとRAは「聞く・決める・口説く」に時間を使えます。

AIを使う場面は、集客のコンテンツ、登録後の対応、面談の記録、書類、マッチング、求人開拓、経営の数字の7つです。どの場面でも、AIが下書きや更新案を作り、担当者が確かめて承認してから、送ったり記録に残したりします。

さらにAIは、これまで手が回らなかった取り組みも可能にします。たとえば、すべての面談記録から傾向を探すことや、夜間・休日の登録にすぐ返信することです。

ただし、AIの答えの質は、AIが判断に使う背景の情報、つまりコンテキストで決まります。そのため、職種・勤務地・選考段階など、あらゆるデータの形式をそろえ、記録をつなげて1つのデータベースにまとめます。そのうえで、自社の業務に合うAI搭載のCRMやシステムを組み合わせましょう。

ナウビレッジは、150社以上の人材企業を支援してきた経験をもとに、HubSpotとHubSpotのAIを使った人材紹介の業務づくりを支援しています。HubSpotでのAI活用を検討している方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

Supervisorこの記事の監修者

髙山 博樹ナウビレッジ株式会社 取締役CGO

上場している建設総合コンサルティング会社を経て、創業初期のナウビレッジに参画。広告・SEO・Webサイトなど多様な集客手法と、CRM/SFA/MAの設計・運用に精通し、自社では年間250件のリードを獲得する体制を構築しました。HubSpot導入・構築支援サービスの責任者として、HubSpot Diamond Partnerの取得を牽引。「施策を増やす前に、仮説とその次の一手を仕込んでおく」を原則に、データ基盤の整備からコンテンツ設計までを一貫して担当しています。

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