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RevOpsとは?組織間の連携を円滑に、収益を上げる方法を紹介

  • 更新日 : 2025-05-09

  • 公開日 : 2025-05-09

近年、急速に注目を集めている「RevOps(レベニュー・オペレーション)」という概念をご存じでしょうか。

この記事では、RevOpsの基本から導入のポイント、企業にもたらすメリットまでを網羅的に解説します。

▽こんな方にオススメ
・組織間の連携に課題を感じている経営層・マネジメント層の方
・売上が頭打ちになり、成長戦略を模索している事業責任者の方
・部門をまたぐ業務の非効率さに悩む営業・マーケティング担当者

1.RevOps(レベニューオペレーション)とは

RevOps(Revenue Operations:レベニュー・オペレーション)とは、マーケティング、営業、カスタマーサービス(カスタマーサクセス)といった、収益に直結する各部門の業務プロセスやテクノロジー、データを横断的に連携させ、統合的に管理・最適化する組織戦略の手法のひとつです。

従来、これらの部門はそれぞれ独自のKPIやツールを用いて業務を推進してきました。
しかしその結果、各部門間での情報の縦割り分断(サイロ化)が進み、「業務の非効率」や「顧客体験の質の低下」「機会損失」が発生し、頭を抱える企業も少なくありませんでした。

RevOpsは、こうした情報や業務の分断を解消し、部門を横断的に連携する体制へと変化させ、一貫した顧客体験と継続的な収益創出を実現する仕組みづくりのための手法として近年注目されています。

2.RevOpsを導入する重要性

RevOpsを導入すべき最大の理由は、企業内部に存在する「サイロ化」の問題を根本から解消できる点にあります。
サイロ化とは、先ほどの章でも先述したように、「部門ごとに情報・目標・業務プロセスなどが分断され、連携が取れない状態」を指します。
このサイロ化が生じると、企業全体の成長を妨げてしまう様々な弊害が生じます。

◆代表的な弊害例

●組織文化への悪影響が発生する
部門間の目標や評価指標が異なると、相互に協力しづらくなり、連携や信頼関係が希薄になる恐れがあります。その結果、各部門が独自に施策を進めてしまい、全体最適とはかけ離れた非効率な動きが生まれてしまいます。

●データドリブンな意思決定が困難になる
情報が各部門に散在しており統合されていないと、経営層やマネージャーが迅速かつ正確な意思決定を行うことが難しくなります。データソースや分析軸がバラバラでは、そもそもの議論の土台が揃わず意思決定が難しくなります。

●顧客体験の一貫性が損なわれる
営業が伝えた内容とカスタマーサポートの対応が食い違うなどが生じやすくなります。
そうすると、顧客としては「この会社は連携が取れていない」「何度も同じ説明をしている」などの印象を抱きます。特にBtoBでは契約後も長期的な関係性が続くため、信頼性の低下は大きな損失につながります。

●業務効率が低下する
よくある誤解として、AIや最新ツールを導入すれば生産性が一気に向上すると思われがちですが、それ以前に見直すべきは「組織構造」と「業務プロセスの整備」です。これらがバラバラで安定しなければ、どんなに優れたツールを使っても効果を発揮しません。

RevOpsは、こうしたサイロ化が引き起こす問題を横断的に解消し、部門を超えた連携と整合性を実現するために必要なアプローチ手法です。
組織全体で「顧客中心」の価値提供を行うためにも、RevOpsの導入を進める企業は今後さらに増えることでしょう。

3.RevOpsの4つの役割

RevOpsの中核には、常に「顧客にとっての最適な体験をどうつくるか」という視点が存在します。
そしてこのRevOpsは、以下の4つの役割で構成されています。

①オペレーションマネジメント
②レベニューイネーブルメント
③RevTechマネジメント(レベニューテクノロジーマネジメント)
④データマネジメン・トインサイト

ここでは、RevOpsを構成する4つの主要な役割について詳しく見ていきましょう。

3.1 オペレーションマネジメント(プロセス最適化・生産性向上)

RevOpsを構成する1つ目の役割は「オペレーションマネジメント」です。
オペレーションマネジメントでは、営業・マーケティング・カスタマーサクセスといった部門における業務プロセスを最適化し、不要な作業の排除と自動化によって、生産性を最大化します
例えば、営業リードの引き継ぎプロセスが非効率であれば、リードが適切にフォローされず、商談化率が低下してしまいます。

RevOpsでは、これらの業務の流れを一貫性のある形に再設計し、HubSpotのようなCRMを活用して業務フローを自動化することで、属人化の排除と再現性の高い業務遂行を可能にします。
結果として、人的リソースを戦略的業務に集中させ、より高いパフォーマンスの実現を目指すことができます。

3.2 レベニューイネーブルメント(人材育成・教育体制構築)

RevOpsを構成する2つ目の役割は「レベニューイネーブルメント」です。
レベニューイネーブルメントでは、組織に所属するメンバーの能力を引き上げ、収益拡大につなげるため、社内の人材育成や育成のための仕組みをつくります。

営業部門の場合は持続的に成果を出せるよう支援するという要素が重視されています。
具体的には、

・営業トレーニングの仕組み化
・営業資料やナレッジの整備
・営業プロセスの定義
・オンボーディングプロセスの整備

などが含まれます。
属人的な営業手法に頼るのではなく、誰でも成果が出しやすい環境を整えることが目的です。

レベニューイネーブルメントは、営業だけでなくマーケティングやサポート部門とも連携して構築されるべき領域のため、部門横断的に取り組む必要があります。

3.3 RevTechマネジメント(データプラットフォームの最適化・データ統合)

RevOpsを構成する3つ目の役割は「RevTechマネジメント(レベニューテクノロジーマネジメント)」です。
RevTechマネジメントでは、収益創出に関わるテクノロジーを適切に選定・導入・統合し、運用します

テクノロジーは何を指すかというと、CRM(顧客管理システム)やMA(マーケティングオートメーション)、チャットボット、営業支援ツールなどです。導入するツールが増えるほど、その運用設計と整合性が重要になります。

例えば、CRMとMAを導入したにも関わらず、各部門ごとに運用ルールが統一されていないと、データの重複や入力ミス、手作業によるレポート作成をしなければならないなど、かえって手間が増えてしまうケースもあります。
RevTechマネジメントでは、そうした無駄を排除し、ツールの導入だけでなく、「運用の最適化」をすることを目指します。

ツールの導入と運用の最適化においては、GTM戦略(Go To Market)から逆算して設計する必要があります。

3.4 データマネジメント・インサイト(組織全体の収益分析)

RevOpsを構成する4つ目の役割は「データマネジメント・インサイト」です。
データマネジメント・インサイトでは、営業・マーケティング・カスタマーサービス(サクセス)部門を横断して蓄積されたデータを一元管理し、分析・可視化を通じて意思決定に活用します
どれだけ正確なデータに基づいて戦略を立てられるかがデータマネジメント・インサイトの役割の最重要ポイントです。
例えば、「リード獲得→商談→受注→サポート対応」という一連の流れで収集した顧客データがダッシュボードで見える化されていれば、「どの施策が最もLTVに貢献しているのか」「失注が多いフェーズはどこか」といったボトルネックを特定することができます。
特定したボトルネックを改善することで、施策のアップデートや投資判断を迅速に行えるようになります。
このように、単なる数字の集計ではなく、「データから収益にインパクトのある戦略」を導き出すことが、データマネジメント・インサイトの役割です。

4.RevOpsの導入で得られること

RevOps(レベニューオペレーション)の導入で得られることは、単なる業務効率化だけではありません。
導入することで、組織全体の連携強化、顧客体験の向上、そして収益成長の加速といった具体的な成果につながります。
ここでは、RevOpsを導入することで得られる以下の代表的な3つのメリットをご紹介します。

①部門間の連携強化
②顧客体験の質と満足度の向上
③課題解決と収益成長の加速

4.1 ①部門間の連携強化

一般的に企業では、営業・マーケティング・カスタマーサービス(サクセス)などの部門がそれぞれ独立して活動し、個別最適化がなされていることが多いです。
しかし独立して業務を遂行することにより、部門間での情報共有や連携不足、戦略の一貫性の不足などの課題を抱えている企業も少なくありません。
このようなサイロ化により顧客対応の質がバラバラになり、非効率や機会損失が発生します。

RevOpsを導入すると・・・

組織の各部門を横断的に統括できるため、KPI・プロセス・データ・運用ルールなどを一元管理できるようになります。

各部門のさまざまな情報が連動し、部門間の連携が格段に強化されます。

4.2 ②顧客体験の質と満足度の向上

顧客は、購買行動のプロセスの中で「最初から最後まで、自分のニーズに応じて一貫した対応をしてくれたか」を重要視しています。この一貫した対応ができるか・できないかで、満足度を大きく左右します。

RevOpsを導入すると・・・

企業と顧客の間のすべての接点をつなげ、各部門の対応を統合し「ひとつの体験」として顧客に提供できるようになります。

例えば、営業担当者が把握していた顧客の課題を、カスタマーサービス(サクセス)も事前に把握して対応できる、といったことが自然にできるようになります。

結果的に、顧客との関係性がより深まり、リピートやアップセルなど長期的な成果にもつながりやすくなります。

4.3 ③課題解決と収益成長の加速

売上不振や顧客離れなどの問題が発生した場合、その原因特定には時間と手間がかかってしまいます。そのような経験をされた方も多いのではないでしょうか。

RevOpsを導入すると・・・

業務データや顧客データが一元管理されているため、データをもとに分析し、課題を発見することができるようになります。

例えば、マーケティングの施策は好調なのに商談化率が低い場合、営業フローに課題があることがすぐに可視化できます。
また、カスタマーサクセスにおける対応履歴と満足度スコアの相関を見ることで、対応方法の改善を検討することもできます。

このような「データに基づいた改善」が日常的に行えるようになるため、PDCAが加速し、結果として収益成長のスピードも上がるのです。

5.RevOpsの導入に必要なこと

RevOpsを組織に導入するには、単にツールや担当者を用意するだけでは不十分です。
組織全体の考え方や仕組みを見直し、部門を横断する新しい「連携と共通理解の体制」を築く必要があります。
ここでは、RevOpsの導入に欠かせない3つの要素について解説します。

5.1 明確なビジョンと全社的な共有

RevOpsは、マーケティング・営業・カスタマーサービス(サクセス)といった異なる部門を統合的に動かすためのフレームワークのようなものです。

そのため、第一歩としてまずは経営層が中長期的な収益戦略を明確に示し、それを全社で共有することが重要です。

特に、「なぜ今、自社にRevOpsが必要なのか」「RevOpsの導入によって何を実現したいのか」などを組織全体に伝え、目的意識を共有し、理解してもらうことで、各部門が自分ごととしてRevOpsの導入に関与しやすくなります。

5.2 業務プロセスとデータの可視化

次に、RevOpsの導入・運用のためには、マーケティング・営業・カスタマーサービス(サクセス)のそれぞれの業務プロセスがどのように連動しているのかを可視化する必要があります。
お互いの業務のなかでのプロセスの重複や無駄、属人化した作業がどこにあるのかなどを洗い出し、改善ポイントを見極めましょう。

また、部門間で設定しているKPIやデータ指標がバラバラだと組織全体での共通した判断軸が作れません。これらを一度見直し、組織全体で見るべきデータの基盤を整備することが必要です。

5.3 適切なツールと体制の整備

また、RevOpsには、下記のような各種ツールを連携させた統合基盤が必要です。

・CRM(顧客関係管理)ツール
・MA(マーケティングオートメーション)ツール
・SFA(営業支援)ツール
・カスタマーサービス支援ツール

加えて、RevOpsを推進する専任チームや責任者(たとえばCRO=Chief Revenue Officer)の設置が必要になるケースもあります。部門横断で意思決定をリードできる人材や体制が整っていないと、現場任せで形骸化するリスクがあるからです。

このように、RevOpsの導入には「ビジョン」「プロセスとデータの整備」「ツールと人材の配置」の3点をバランスよく整えることが求められます。

6.RevOpsの導入で顧客満足度と収益拡大を促進するために

いかがでしたか?
RevOpsは、マーケティング・営業・カスタマーサクセスといった部門をつなぎ、顧客体験を軸に組織全体を最適化する考え方であることや、導入で得られるメリット、そして導入に必要なことを解説いたしました。

組織の情報連携が進むと、全社的に業務プロセスの無駄を減らし、顧客に一貫したサービス提供ができるようになります。

結果的に、顧客満足度が向上し、企業の継続的な収益成長にもつながります。

まずは「顧客体験を中心に考える」ことからRevOpsを始め、組織のビジョンを設定してみるところから始めてみませんか

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