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Facebook広告の運用改善マニュアル(基礎編)

  • 更新日 : 2023-05-23

  • 公開日 : 2022-01-22

Facebook広告の成果が出ない…

本記事では、そういった方に向けてFacebook広告の運用改善の方法をご紹介いたします。

1.Facebook広告の改善の考え方

1.1 Facebook広告で見るべき指標

Facebook広告を改善するにあたってまず初めに必要なのは、「何の指標に注目すべきか」を把握することになります。

以下の画像をご覧ください。

コンバージョンとCPAが悪化する原因

Facebook広告のコンバージョンまでの道のりは、「インプレッション⇒クリック⇒コンバージョン」です。

インプレッションからクリックに至る確率がCTR、
クリックからコンバージョンに至る確率がCVRです。

多くの場合、「成果が出ていない」状況とは、

・コンバージョンが少ない
・CPA(コンバージョン単価)が高い
・その両方

のいずれかです。

コンバージョンが少ない場合、見るべきは、
①インプレッション
②CTR

③リンクのクリック
⑤CVR

CPAが高い場合、見るべきは、
④CPM
⑤CVR

両方が悪い場合は①~⑤全てを見直します。

このように、Facebook広告では基本的に①~⑤の5つの指標を見ていくことをおすすめします。

1.2 Facebook広告のどの指標に注目するか

5つの指標を見ていく上では、「どの指標が悪いか」をまず把握することが大切です。

全体の運用結果が悪くても、状況を紐解いていくと、「数値が良い指標」もあれば「数値が悪い指標」もある、という状況も多いです。

「良い指標」と「悪い指標」を見極め、「悪い指標」をまずは改善することで、運用成果の効率的な改善が見込めます。

ではどのようにして「悪い指標」を見極めるのでしょうか?

以下に「どの指標が悪いか」の把握の仕方の例を紹介します。

Facebook広告の運用結果の例

上の図は運用結果の例です。

この運用では、目標の「CPA1万円でコンバージョン10件」に対して、「CPA28,351円でコンバージョン2件」と、未達の状況になっています。

今後、どのようにして改善していくべきでしょうか?
おすすめの考え方を記載していきます。

CPMの改善はある程度諦める

まず、CPMは、最も改善しづらく注力すべきでない指標なので、検討から外します。

というのも、この指標は市場の競合性で値が決まり、中々こちらがコントロールできる値ではありません。多くの会社にターゲットされているような人に出稿する場合は高くなり、あまりFacebook広告では狙われない層の人に出稿すると低くなります。

オーディエンス設定を変更することにより数値を変化させることはできますが、それでも数値が読みにくいことには変わりありません。

ここではターゲットは変えないまま、今の状態をどう改善していくかについて記載していきます。

CPMの実数値と予算額から、インプレッションを算出する

CPMの実数値と予算額から、インプレッションを算出する

CPMが1,939円で動かせないと仮定した場合、予算10万円消化した場合のインプレッションは、

100,000 ÷(1939/1000) = 51,572 

となります。

51,572のインプレッションを母数にして、CPA1万円、コンバージョン10件を達成しなければなりません。

CVRを仮定

CVRを仮定

残すは、CTRとCVRをどう考えるかですが、

一般的にCTRよりもCVRの方がコントロールしにくい値であるため、

CVRの目標値を固定し、それに合わせてCTRの目標値を決めるやり方をおすすめします。

CVRの向上のためにはFacebook広告内の設定だけでは難しく、広告クリック後のランディングページの品質の向上が求められます。

一方、CTRはバナーの変更など、後述する改善策である程度容易に改善が見込めます。

そのため、まずは動かしにくいCVRの値を、リスティング広告など他の広告の実績などから仮定し設定することをおすすめします。

ここでは、3%と設定しています。

CTRを算出

CTRを算出

最後に、設定したCVRの値をもとに、リンクのクリック数とCTRを算出します。

今回の場合は、上の図のような数値の推移が現実的に狙えそうな理想の状態として導かれました。

現状と比較

現状との比較(現状)
現状との比較(理想)

改めて現状と理想を比較してみましょう。

インプレッション⇒今のままのCPMでいけば、10万円の消化で問題なく達成

CTR⇒2倍以上の改善が必要

リンクのクリック⇒CTRの改善で必然的に数が増える

CVR⇒0.73%上昇させる必要がある。ここが上手く行かない場合はCTRをより向上させる必要がある

このように、最終的にはCTRとCVRをどのようにして向上させるか?を考える必要があります。理想を一度設定することにより、どのくらいのCTR、CVRを目標にすべきなのか明確になるので、あとはその目標に達するためにそれぞれに対して何を行っていくかを考える形になります。

もちろん、狙った通りのCPMやCTR・CVRにならないことも多々ありますが、一度この形を考えておけば、「今、何の数値が悪いのか」の把握と改善アクションの選定が容易になります。

2.Facebook広告の各指標の改善方法

「どの指標を見るべきか」というところが明確になった後で、それぞれの指標をどのようにして向上させていくか、を考えていきます。

以下にそれぞれの数値の改善方法について記載していきます。

2.1 インプレッションとCPM

インプレッションの値は「予算額」と「CPM」によって決定され、「CPM」は前述のとおり、コントロールしにくい値になります。

そのため、インプレッションは他の指標と比べると意図的な改善が難しい部分もありますが、その中でもできることを記載します。

予算配分を検討する

現在運用しているアカウントで複数の広告セットを運用している場合、各広告セットの予算配分を検討してみてください。

より成果の出ている広告セットに予算を集中させることによって、目標に近づきやすくなるかと思います。

オーディエンス設定を検討する

CPMは主にオーディエンス設定によって決定されるので、よりCPMが低く、かつコンバージョンの取れるオーディエンス設定を検討することによって、改善が期待できます。

「では何のオーディエンス設定が良いか?」という観点に関しては、以下の記事にて詳細に解説していますので是非ご覧ください。

2.2 CTRとクリック数

CTRとクリック数の改善には大きく以下の5つの観点があります。

①オーディエンス設定
②バナーの品質
③バナーの配信形式
④フリークエンシー
⑤配置

以下、一つ一つ解説していきます。

オーディエンス設定

設定している広告バナーをよりクリックしてくれるオーディエンス設定にすることが重要です。
極端な例ですが、男性だけのオーディエンスに女性向け化粧品のバナーを配信してもクリックはされません。

適切なターゲット設定を行ったオーディエンスに適切なバナーを配信することによってCTRが向上します。

オーディエンス設定はFacebook広告の中で最も重要な設定の一つです。前述しましたが、詳細は以下の記事に詳しいので是非ご参照ください。

バナーの品質

バナーの品質が最もCTRに大きな影響を与えます。複数パターン仮説を立てて、1か月単位で検証していくことをお勧めします。

クリック率の高いバナーのパターン

バナーのパターンとして、弊社の運用でCTRが高い傾向が出ているものをいくつかご紹介します。

パターン1は「ターゲットユーザーの悩みを呟き調で表現」
パターン2は「実績の数字を記載したもの」
パターン3は「女性の顔が映っているもの」
パターン4は「期間限定キャンペーンなどと組み合わせたもの」

これら4つのバナーを作成し、比較検討してみてはいかがでしょうか。

また、Facebookの公式ページにて、競合が出稿している広告バナーなどを検索できるのでこちらも合わせて参考にしていただくことをお勧めします。

▼Facebook広告ライブラリ
https://www.facebook.com/ads/library/

バナーの配信形式

Facebook広告では、主に以下の配信形式があります。

・バナー1枚で配信
・カルーセル
・スライドショー
・コレクション
・動画

カルーセル・スライドショー・コレクションは複数枚のバナーが、動画は撮影や編集が必要なので、バナー1枚の場合より工数と費用がかかります。

工数と費用が潤沢にある場合は、上記の形式を全て検討してみる形が良いですが、費用と工数が限られる場合、まずはバナー1枚の配信から始めることをお勧めします。

バナー1枚の配信で何パターンか試し、試行錯誤を繰り返したのちに、どうしても目標が達成できないとなった場合に、カルーセル・スライドショー・コレクション・動画を試してみることをお勧めします。

④フリークエンシー

「フリークエンシー」という指標をご存知でしょうか。

フリークエンシーは「平均して同じユーザーに何回広告を表示したか」の指標であり、「インプレッション ÷ リーチ(何人に広告が表示されたか)」で算出されます。フリークエンシーが高ければ高いほど、同じ人に何回も広告を表示させていることになります。

このフリークエンシーですが、「バナーの賞味期限」と捉えられる指標です。というのも、フリークエンシーはCTRと反比例の関係にあり、フリークエンシーが高いほどCTRが下がる傾向にあります。

フリークエンシーが2.5以上の数値になると、それを境にCTRが減少する傾向にあります。2.5という値を目安にして、CTRが減少していればバナーの差し替えを検討してみてください。

配置

Facebook広告の広告セットには「配置」という設定があり、「Facebook」「Instagram」「Audience Network」「Messenger」の4つのどこに広告を配信するかを選ぶことができます。

「配置」のデフォルトの推奨設定は「自動配置」になっており、この設定の場合、4つの媒体全てに配信されます。この4つの媒体の成果を比較検討し、成果の悪い媒体への配信は停止してしまうことをお勧めします。

確認方法としては、広告の管理画面の右上の「内訳」>「配信」>「配置」をクリックする形になります。

配置の選択

そうすると以下の画面のように媒体別の値が出てくるので、媒体間でCTRやコンバージョンを比較できます。

配置の最適化

以上がCTRとクリック数を向上させるための観点となります。

2.3 CVR

最後にCVRのどのようにして向上させるか、について解説していきます。

主に以下2つのポイントが重要になります。

①ランディングページの品質
②バナーとランディングページの一貫性

①ランディングページの品質

広告のクリック後にユーザーに表示されるランディングページですが、Facebook広告の設定以外の部分で、品質の向上が求められます。

いくら広告費を投下しても、いくら良いバナーを制作してCTRを高めても、最後に見るランディングページでコンバージョンが獲得できなければ意味がありません。

ランディングページの改修は費用や工数がかかるため、なかなか頻繁に改善することが難しいかもしれませんが、広告経由で成果を出したい場合はできる限り妥協せずに制作することをお勧めします。

成果の出やすいランディングページについては、以下の記事で解説していますので是非ご参照ください。

バナーとランディングページの一貫性

次に重要なのが、バナーとランディングページの一貫性です。

ユーザーがバナーを見て期待することと、ランディングページを見て期待することは同じでなければいけません。極端な例ですが、脱毛クリームの商品をPRしているように見える広告バナーなのに、クリックすると食料品の購入のためのランディングページに遷移すると、ユーザーはほぼランディングページから離脱して、CVRは低下してしまうでしょう。

バナーを見て「これに興味がある」と呼び起こしたユーザーの興味を裏切らないランディングページになっているかどうか、今一度確認してみてください。

通常、ランディングページの改修の方が難しいので、バナーのほうをランディングページに合わせて制作することが大切になってきます。

3.まとめ

いかがでしたか。

Facebook広告を改善する際は、

・見るべき指標の把握
・現状と目標の差分を把握
・それぞれの項目に対して改善施策を実施

といった流れが重要になります。

本記事を辞書的に使っていただき、運用されるアカウントの改善に繋げていただけますと幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。