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人材派遣業界は、企業の人手不足に対応する有力な手段として、安定したニーズを獲得し続けている分野です。
特にITや介護といった専門職領域での需要は拡大しつづけており、派遣サービス市場は安定した成長を見せています。
一方で、企業からの依頼が増えるほどに、派遣会社には求職者の安定的な確保やマッチングスピードの向上、継続的な関係構築などが求められています。
派遣会社としては、求職者に適切なタイミングでアプローチし、企業とのマッチングの機会を逃さないようにしなければなりません。
こうした課題を解決し、集客や稼働率向上のための手段として注目されているのが、「MAツール(マーケティングオートメーションツール)」です。
本記事では、人材派遣業におけるMAツールの重要性や活用イメージ、おすすめのMAツールをご紹介します。
▽こんな方にオススメ
・求職者をもっと集めたい派遣会社のマーケティング担当者
・面談や稼働につながる動きを効率化したい営業担当者
・過去の登録者に再びアプローチしたいコーディネーター
目次
1. 人材派遣業にMAツールが重要な理由
1.1 人材派遣市場の変化と集客の難化
近年、人材派遣サービスに対する企業のニーズは全体的に高まっており、とりわけ専門職領域ではその傾向が顕著です。
背景には、企業の慢性的な人手不足があり、派遣サービスへの依存度が高まっているのが現状です。実際、2023年度の人材派遣市場は約8.7兆円に達し、安定した成長を見せています(出典:矢野経済研究所)。
しかし、需要が高まる一方で、求職者の確保やスピーディーな対応は依然として課題です。
登録者をいくら集めても対応しきれなければ、ミスマッチや取りこぼしが生じます。
また、競合他社との差別化も難しくなっており、継続的かつ効率的に求職者と接点を持つ仕組みづくりが、派遣会社にとってますます重要になっています。
1.2 MA(マーケティングオートメーション)とは
MA(マーケティングオートメーション)とは、見込み顧客の獲得から育成、商談化までのプロセスを自動化・最適化する仕組みです。
BtoB・BtoC問わずあらゆる業界・業態で利用されています。
具体的には、メルマガなどのメール配信やWebフォームの管理、行動履歴のスコアリング、セグメントごとのコンテンツ配信など、複数あるマーケティング活動を自動化し、手間をかけずに見込み顧客との関係を深めることです。
人材派遣業においては、求職者の興味関心に応じたアプローチや、登録後のフォローアップ、過去登録者(休眠リード)への再アプローチ(掘り起こし)などに活用できます。
手作業では限界のある情報管理や接点構築を効率化することができるため、コーディネーターや派遣営業の業務負担を減らしつつ、求職者との接点を増やすことができます。
1.3 MAツールの利用で集客と業務効率化を実現
人材派遣会社が求職者の獲得競争に勝つためには、「数を集めること」だけでは不十分です。
今や、「求職者一人ひとりの関心や状況に応じて、適切なタイミングで情報を届け、関係性を継続的に育てること」が不可欠になっています。
上記を実現するためにMAツールは極めて有効です。
従来、人手に頼っていた情報発信やフォロー対応を自動化することで、コーディネーターや営業など組織全体の業務効率を高め、効果的に求職者を集めることができるのです。
2.人材派遣業におけるMAツール導入の効果
MAツールの導入により、人材派遣業におけるマーケティングと求職者対応のプロセスは大きく変わります。
以下は、実際に導入することで得られる代表的な効果です。
◆業務の生産性向上
人手による対応が必要だったメール送信、情報整理、リマインドなどの業務が自動化されるため、現場のコーディネーターや営業、CS担当者の負担が軽減されます。
1人あたりが対応できる求職者数が増加するので、チーム全体の生産性が向上します。
◆応募から稼働までのリードタイム短縮
求職者に対してリアルタイムで情報提供やフォローアップが可能になります。そのため、登録〜面談〜稼働までの期間を短縮することができます。
タイミングを逃さず接点を持てるようになり、競合他社に先んじたマッチングを実現しやすくなります。
◆登録率・面談設定率の向上
登録フォームの改善や、面談設定未完了ユーザーへの自動フォローなどがラクにできるようになります。
しっかりとしたアプローチができるので、途中離脱も減少させることにも繋がります。
さらに、求職者の関心度に応じた適切な案内ができるようになり、面談設定率の改善が期待できます。
◆休眠リードの掘り起こし率の向上
過去の登録者(休眠リード)に対しても、パーソナライズされた情報提供やキャンペーン配信を自動で行うことで、再稼働につなげる動きを強化できます。
せっかく集めた登録者データも有効活用しなければ費用の垂れ流しにもなってしまいますが、MAツールの導入で登録者データの活用価値を高めることにも繋がります。
◆データドリブンな意思決定の実現
施策ごとの成果や、求職者の反応を可視化できるため、担当者の経験や勘に頼らず、根拠ある改善施策を実行できる体制が整います。
このように、MAツールの導入は、単なる「自動化による業務効率化」だけではなく、転換率の向上や、収益に直結するようなオペレーション体制の構築に役立ちます。
3.人材派遣業におけるMAツールの活用イメージ
では、実際に人材派遣企業では、どのようにMAツールを活用できるでしょうか。
ここでは、実際の活用イメージを以下の5つのカテゴリに分けてご紹介します。
・新規求職者の獲得
・登録率の改善
・対応の効率化
・面談数の増加
・過去登録者の掘り起こし
3.1 新規求職者の獲得
人材派遣事業の成長において、求職者の新規獲得は最も基本的で重要な取り組みです。
近年ではWeb広告、SNS、検索経由などさまざまなチャネルから求職者が登録するようになってきており、人材派遣企業も対応できるようにする必要があります。
MAツールを活用すれば、複数チャネルでの集客状況を可視化し、効果の高いチャネルに注力できるようになります。
また、初回接触後の自動フォローによって、取りこぼしを防ぎながら登録へとつなげることが可能になります。
▼MA活用の例
施策例 | 活用イメージ |
---|---|
Web広告やSNSからの流入を計測・分析 | ・各チャネルの効果を可視化し、集客施策を最適化。 ・広告やSNSなど各チャネルごとの流入数やCV数も集計。 |
求職者情報の自動取り込み | ・LPやサイトに設置したフォーム経由の情報を自動でCRMに反映。 ・希望職種・勤務地・スキルなども求職者に紐づけた属性として自動保存。 |
登録後の自動フォロー | ・初回登録直後に自動でサンクスメールを配信。 ・関心に応じた求人情報や導入ガイドを段階的にメール配信。 |
求人ページ閲覧履歴に応じた求人案内 | ・求職者が閲覧した職種や条件に応じて、関連求人や面談案内をパーソナライズして配信。 |
3.2 登録率の改善
人材派遣サービスの会員サイトやLPでは、求職者がフォーム入力途中で離脱してしまうことも多いです。
そのため、登録完了までの導線設計が非常に重要です。
MAツールを活用すれば、登録率向上に向けた改善ができ、新規求職者の登録数をより増やすことが可能です。
▼MAツール活用の例
施策例 | 活用イメージ |
---|---|
フォームのA/Bテストで項目数・設問順を最適化 | ・コンバージョン率が高いフォームパターンを可視化し、最適な設問数や構成へ改善。 |
フォーム離脱ポイントの可視化と分析 | ・離脱率の高い項目やタイミングを特定し、登録フォームを継続的に改善。 |
フォーム入力の手間を軽減 | ・過去の接触履歴から入力済み情報を自動補完。再登録時のストレスを削減し、登録率を向上させる。 |
3.3 対応の効率化
人材派遣会社における「対応」とは、登録前の見込み求職者から、登録後の選考プロセスに進む求職者、さらには一度離脱した音信不通の登録者に至るまで、幅広いフェーズでの対応のことを指します。
それぞれの段階における対応をMAツールで効率化することで、機会損失を防ぎ、業務の効率化を図ることができます。
▼MAツール活用の例
フェーズ | 施策例 | 活用イメージ |
---|---|---|
登録前(見込み求職者) ※メールアドレス未取得 | Webサイト訪問者の行動を分析、人気ページやコンバージョン傾向を把握 | ・ヒートマップや訪問頻度をもとに「事務職の求人ページ」への注目度を分析し、導線改善やCTA強化に活用。 |
ポップアップフォームやスライドインCTAでメールアドレス取得を促進 | ・CTAバナーを表示して、登録フォームへの誘導を強化。 (例) 「人気の非公開求人をメールで受け取る」バナーの表示 | |
登録直後〜選考中 ※メール取得済 | 登録内容や希望職種に応じた求人案内メールを自動配信 | ・「営業職希望」の登録者に対し、自動で3件の求人紹介と面談案内を送信。 |
クリック・開封履歴をもとに温度感をスコアリングし、優先対応を判断 | ・同じメールを送っても、未開封者は除外し、興味関心の高いユーザーを営業チームが重点フォロー。 | |
CRMで履歴が一元管理されているため、担当変更時もスムーズに引き継ぎ可能 | ・面談記録・過去メール・タスクなどすべてが可視化されており、別担当者でも即対応可能に。 | |
音信不通者(離脱・未稼働者) | 一定期間反応がないコンタクトに対して、再アプローチメールを自動配信 | ・登録後60日以上活動がないユーザーに、「最近の人気求人」メールを再送。 |
再エンゲージメントに反応したユーザーをリスト化し、フォロー対象として営業に通知 | ・メール開封・クリックがあった人のみを「アクティブリスト」に追加し、通知&優先アクションを促す。 | |
未接触ユーザー向けキャンペーンメールを定期的に実施 | ・3か月以上連絡のない登録者向けに「キャリア相談イベント」の案内メールを送信。 |
3.4 面談数の増加
いくら登録率を改善し、新規求職者を獲得し、対応の効率化を図ったとしても、登録後の求職者に適切なアプローチができなければ、面談やお仕事紹介につながりません。
実際に求職者と面談する機会を増やすことは、マッチング精度や契約成立率を上げるうえで不可欠です
面談数の増加においては、MAツールは以下のように活用できます。
▼MAツール活用の例
施策例 | 活用イメージ |
---|---|
登録者の温度感をスコアリングする | ・「求人情報を複数クリック」「面談案内メールを開封」などの行動でスコアを加算し、優先リストを作成。 |
スコアの高い登録者に面談案内を自動配信する | ・温度感が一定以上の登録者に「面談希望日を選択してください」という自動メールをトリガーで送信。 |
面談予約フォームと連携する | ・Googleカレンダー連携などで日程選択を簡単に。ユーザーは都合の良い日をクリックするだけで予約完了。 |
面談前に事前案内メールを配信する | ・面談2日前に「当日の持ち物」「面接対策動画」「よくある質問」などを案内し、準備漏れを防止、不安解消。 |
3.5 過去登録者の掘り起こし
過去に登録はあったものの、当時はマッチングに至らず、一定期間連絡が取れていない登録者も再び稼働候補となる可能性は大いにあります。
休眠リードの掘り起こしにおいて、MAツールは以下のように活用できます。
▼MAツール活用の例
施策例 | 活用イメージ |
---|---|
希望条件に合わせて再アプローチメールを送信する | ・過去の希望職種や勤務地に応じた求人情報を、自動でメール配信。 |
メール反応者を自動でリスト化する | ・メールの開封やクリックをトリガーに、関心の高い登録者をアクティブリストに追加。 |
新着求人やキャンペーン情報を定期配信する | ・週1回の頻度で新着情報を一斉配信し、継続的な接点を維持。 |
反応履歴をもとに個別アプローチを行う | ・クリックや資料閲覧などの反応があった登録者に対し、担当者が優先的に再連絡。 |
4.人材派遣企業におすすめのMAツール
4.1 HubSpot
HubSpotは、世界135か国以上で25万8,000社を超える企業に導入されている、マーケティング、営業、カスタマーサービスの業務をつなぐための機能を網羅するCRM搭載のカスタマープラットフォーム(AI機能搭載)です。
統合型プラットフォームのため、企業の基幹システムとして利用することもできますし、マーケティング活動のみをHubSpotで行うといったような業務の一部をHubSpotで補う形式で既存の基幹システムと組み合わせて利用することもできるオールマイティな製品です。
HubSpotは、HubSpot CRMをベースに、
・Marketing Hub(MA機能)
・Content Hub(CMS機能)
・Sales Hub(SFA機能)
・Service Hub(CS機能)
・Operations Hub(データ連携機能)
という主に5つの製品があり、総合してHubSpotと呼ばれています。
このなかで、「Marketing Hub」がMA機能を有しており、人材派遣会社でも導入実績があります。
関連記事:
HubSpot(ハブスポット)とは?特徴や機能、料金、注意点を解説
4.2 Marketing Hubの特徴
HubSpotの「Marketing Hub」は、マーケティング業務を一元管理し、自動化・最適化するためのMA(マーケティングオートメーション)ツールです。
求職者との関係構築から登録、稼働までのプロセスをスムーズにするための多彩な機能が揃っており、人材派遣会社のように「継続的なリード獲得」と「効率的なフォロー」が求められる業種にも適しています。
主な機能(人材派遣業向け)
機能 | 機能概要 | 人材派遣での活用イメージ |
---|---|---|
フォーム・LP作成 | コーディング不要で直感的にフォームやランディングページを作成可能 | ・求職者の登録フォーム、求人情報LPを簡単に作成 ・応募導線を強化 など |
マーケティングEメール | セグメントごとにメール配信、開封・クリックなどの反応を追跡可能 | ・IT系・介護系など職種別に情報を出し分け ・反応に応じた追客 など |
ワークフロー | ユーザーの行動に応じてステップメール、タスク作成、リスト更新などを自動化可能 | ・登録完了後のリマインド ・面談日程案内 ・未対応者への自動フォロー など |
スコアリング | 閲覧ページやクリック数などから関心度をスコア化し、対応優先度を可視化可能 | ・ホットリード(登録見込みが高い求職者)を自動抽出 ・営業チームとの連携強化 など |
レポート・ダッシュボード | 各施策の成果をリアルタイムで可視化可能 | ・LP別登録率の分析 ・配信メールの反応率の分析 ・登録後の歩留まり分析 など |
CRM連携 | HubSpot CRMとシームレスに統合可能 | ・求職者の行動履歴・対応履歴をすべて一元管理 ・マーケ、営業、CSと部門横断での情報共有 など |
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HubSpot Marketing Hubとは?特徴・機能・料金・メリットデメリットまで徹底解説
5.HubSpotで求職者獲得マーケティングを最適化
いかがでしたか?
人材派遣業界では、「求職者の新規獲得」「対応の効率化」「継続的な関係構築」といったすべてのプロセスを、丁寧かつスピーディに設計・実行していくことが、事業成長の鍵を握ります。
こうした課題に対し、HubSpotを活用することで、求職者対応の各フェーズを自動化・最適化し、マーケティング活動全体の一貫性と成果を飛躍的に高めることが可能です。
また、求職者の行動データに基づくアプローチを行うことで、マッチングの精度向上や稼働率アップにもつながるでしょう。
MAツールを活用したマーケティング体制の構築をご検討中の方は、ぜひナウビレッジへご相談ください。
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