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マーケティング戦略において重要な役割を果たす「ペルソナ」。
しかし、ペルソナを正確に理解できていない、もしくは、どのようにペルソナ設定をすればよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ペルソナの基礎知識や設定方法など、詳しく解説します。
効果的なペルソナ設定にお役立てください。
1.ペルソナの基礎知識
1.1 ペルソナとは?
本来ペルソナ(Persona)とは、ラテン語で俳優が演技する際に使用する「仮面」を意味し、
「人間の外的側面・自分の内面に潜む自分」と定義されています。
そこから発展して、マーケティングにおいては、
自社の商品・製品やサービスを買ってくれる「架空のユーザー像」を表します。
架空のユーザー像、つまりあたかも実在する人物のように詳細にペルソナを設定することが特徴で、一般的には年齢や性別に加え、職種、ライフスタイル、価値観や行動、家族構成などを具体化して設定します。
設定したペルソナの需要を満たす商品開発をすることを、ペルソナ分析と呼び、多くの企業がその手法を取り入れています。
ペルソナ分析を行うことで、どのようなコンテンツを発信するか明確に定められますので、マーケティングにおいてペルソナは重要な役割を果たすものであると言えます。
1.2 ペルソナとターゲットとの違いは?ペルソナの具体例
ペルソナとよく混同される言葉に「ターゲット」があります。大きく異なる特徴としては、商品を訴求したい属性・対象です。ペルソナが「架空の人物像」という一人の人間を指すのに対し、ターゲットは「実在する属性の集団」のことを指します。
ペルソナはターゲット設定の一部であり、ターゲットよりも深く、詳細に人物像を設定していきます。
それでは、ターゲット、ペルソナの双方の具体例をあげてみましょう。
■ターゲット:
30代・女性・既婚
■ペルソナ:
年齢→37歳
性別→女性
居住地域→東京
家族構成→夫、5歳の男の子
職種→看護師
趣味→キャンプ
その他、使用しているSNSや、人間関係、人柄など詳細に設定。
いかがでしょうか。
具体的で詳細なペルソナを設定すれば、ライフスタイルから趣味、テレビやインターネットを見る時間帯、買い物をする場所まで知ることができます。
そしてその結果、ペルソナに近い人々により深く刺さる商品やサービスにすることができます。
2.ペルソナを設定する目的
なぜ、このような詳細なペルソナ設定が必要なのでしょうか。
ペルソナを設定する目的について、3つのポイントを解説します。
①マーケティング施策の成果を高める
②開発チームでの共通認識を促進する
③ユーザーのニーズに応えるサービスを実現する
一つずつ解説していきます。
①マーケティング施策の成果を高める
ペルソナを設定する1つ目の目的は、マーケティング施策の成果を高めることです。
マーケティングにおいて何よりも重要なのは、商品やサービスを利用するユーザーのニーズを正しく理解し、適切なメッセージを届けることです。
ペルソナを作成していく過程で、ユーザーへの理解が深まります。
どんなアプローチに反応を示すのか、いつ発信すればタイミングよく興味を示すか、といったことを具体的に考えやすくなります。
その結果、プロジェクトの方針なども決定しやすくなり、もっとも効果を期待できるマーケティング進行が可能です。
マーケティングの精度があがることにより、その後のプロジェクトの方針もはっきりとします。
その結果、業務が効率化でき、作業時間や実施に関わるコストなどの削減が可能です。
また、販促方法なども具体化できますので、費用を適切に配分するなど無駄な予算を投じずに済みます。
②開発チームでの共通認識を促進する
2つめのポイントは、開発チームの認識共有を促進できるという点です。
開発に携わる人は多数います。
そのため、全員の方向性を統一するためには顧客となる人物のイメージを一致させる必要があります。
単に「30代女性向けの商品を作る」とだけ言っても、人によってイメージする「30代女性」はそれぞれ異なります。
単純なターゲット設定だけでは、見る人によって解釈に差異が出てしまうことがわかります。
その結果、意見がまとまらず、無駄な作業が発生したり、スケジュールが遅れるといったトラブルになりかねません。
具体的なペルソナを関係者全員で共有することにより、認識のズレが起こりにくい状態を作ることで、プロジェクトの進行もスムーズに行うことができます。
③ユーザーのニーズに応えるサービスを実現する
3つ目のポイントは、ユーザー視点での商品開発が可能になることです。
ターゲット設定を丁寧に作り込むことによって、顧客の状況や心境、境遇、ライフスタイルといった具体的なことまでイメージしやすくなります。
例えば、先ほど設定した「30代女性」のペルソナで考えると、「責任の重い夜勤のある仕事でストレスを感じている。子供の世話もあり、忙しいが、休日家族で行くキャンプでリフレッシュしている。
最近は、家族のためにも健康的な食生活を意識している」と、詳しくイメージすることができます。
そうなると、自社の商品に興味を持ってもらうには「どんなアプローチが好まれるか?」、「いつ情報発信をすればユーザーに届きやすいか?」なども想定しやすくなります。
自社の商品やサービスを押し付けるような売り込みでは、顧客を満足させることはできません。
ペルソナ分析により、顧客が本当に望んでいるコンテンツの提供へと導くことができるのです。
ここまで、ペルソナを設定する目的について解説しましたが、逆にペルソナが無いとどうなるでしょうか?
アプローチしたい人物像が、ペルソナではなくターゲット止まりで、幅広く設定されている場合、
商品のコンセプトが曖昧になってしまいます。
その結果、訴求力が弱まり、どの消費者にも響かないものとなってしまう恐れがあります。
ペルソナを設定し、具体的な人物像に向けた商品開発のターゲットを絞ることで、顧客が望んでいるサービスや商品を提供することができます。
3.ペルソナの必要項目と設定方法
3.1 ペルソナの必要項目
ペルソナの設定時に必要な項目をいくつかご紹介します
・年齢
・性別
・職業 / 役職
・年収
・住所
・趣味(複数でも可)
・人間関係、家族構成
・日課にしていること
・ライフスタイル(起床・就寝時間、通勤時間、勤務時間、休日の過ごし方)
・利用しているSNS
・情報収集の方法
・よく見ている映画
・動画チャンネル
・好きなブランド
・ 最近の悩み(複数でも可)
・将来の夢
必要項目がわかったら、次は実際に、ペルソナの設定方法について詳しくご紹介します。
3.2 ペルソナの設定方法
1.「ペルソナにしたい人物」に関する情報収集
ペルソナを決めるうえでもっとも肝となるのは、人物像を決定付けるための情報取集です。
可能な限り多くの情報を収集し、徹底してリアルなペルソナを設定していきましょう。
情報収集の方法としては以下が挙げられます。
①顧客に対しての情報収集
②営業担当者に対しての情報収集
③社内データの分析
④政府やシンクタンクのデータを利用
⑤検索エンジンやSNSでの反応調査
詳しく解説していきます。
①顧客に対しての情報収集
最近では、顧客への直接のユーザーインタビューは、ZoomやGoogleMeetなど、ビデオ会議ツールを使用することで非常に行いやすくなりました。
インタビューは、既存顧客と見込み顧客の両方に実施することで、顧客の声を正しく把握することができます。
既存顧客に関しては社内の顧客リストからピックアップできますし、見込み顧客は「ビザスク」や「クラウドワークス」などのクラウドソーシングや、「Spready」のようなビジネスSNSを使用して探すことができます。
調査する内容は、顧客の基本情報に加え、自社の商品やサービスに興味を持った「最初の動機」、「検討段階の情報収集」や「検索キーワード」、「商品購入の要因」などは是非ヒアリングしましょう。
さらにインタビューに加え、実際のWebサイトを訪れてもらい、どのような行動を取るか、捜査の様子を撮影する「ユーザーテスト」という方法もあります。
顧客がどこで手を止めたのか、何の情報に迷い、なぜ意図しない行動をとるのか。
行動の背景にある理由を確認するようにしましょう。
定量的に顧客の声を把握したい場合は、アンケートでの調査が有効です。
アンケートは、インタビューと比べて「なぜそう思うか」といったインサイトが掴みづらい側面もあります。アンケートを実施する場合は、項目に自由回答欄を設け、その意見を深堀することで、密度の高いユーザーインタビューを行うことができます。
さらに内容の濃いフィードバックを期待するなら、既存顧客へ先行して新製品や新機能を提供し、意見をもらうことも有効です。
この顧客からの意見は、実際に商品やサービスを展開する際に、マーケティングメッセージや導入効果の訴求、先行利用企業の事例として利用できます。
先行して顧客の声を聞くことは、マーケティング施策としても有効ですので、ぜひ実施しましょう。
②営業担当者に対しての情報収集
顧客と接する機会の多い営業担当車に聞き取りを行うことも有効です。
社内でもっとも顧客を理解しているのは、顧客と接点の多い営業担当やユーザーサポート部門であることが多いです。
顧客へのインタビューに加え、営業担当にもインタビューを行いましょう。
双方に共通する認識、ギャップの両面を把握できます。
別の角度から情報を収集することによって、新たな顧客のニーズや特性が判明する可能性があります。
調査する内容は、営業担当の属性など基本情報に加え、「顧客がサービスを検討したきっかけや抱えている課題」、「顧客に刺さるポイント」、「自社に対する認知の有無」や「競合企業の特徴」などは
是非ヒアリングしましょう。
また商談がある場合は、可能な範囲で同席しましょう。実際の商談模様や顧客の発言を確認するのも非常に有効です。
③社内データの分析
新しくアンケートやインタビューを行うだけではなく、すでに自社の顧客に関するデータを持っている場合は、その情報とアンケートやヒアリングで得た情報を組み合わせるのが有効です。
既存データを活用する際には、そのデータの正確性に注意しましょう。
アンケートが実施された日付を確認するなど、信ぴょう性はあるのかといったことを、客観的に再度分析し直す必要もあります。2つのデータから得られる傾向を反映させることでより正確なデータを集めるようにしましょう。
④政府やシンクタンクのデータを利用
統計など政府が公開している調査データを参考にしてみてもいいかもしれません。
⑤検索エンジンやSNSでの反応調査
近年、SNS上で商品の感想や使用感などを発信する方は増えています。
自社の商品・サービスや関連キーワードを検索し、状況を確認してみましょう。
もし商品・サービスについての発信が多いようであれば、定期的なモニタリングがおすすめです。
自動でキーワードを拾ってくれるSocial Dogなどのツールもありますので、ご活用ください。
特にSNSはユーザーの生の声とも言えますので、貴重なデータです。ぜひ積極的に集めましょう。
さらに、レビューサイトでは、実際にサービスを利用している顧客がクチコミを書いています。
クチコミを調べることで、顧客への理解を深めることができます。
2.情報を整理する
情報収集が完了したら、情報を整理しましょう。
集まった膨大なデータの中から、分類したり取捨選択をしたりして、必要な情報を絞っていきます。集めた顧客の声は、調査手段ごとに特徴が出ますので、調査方法ごとに得た結果をまとめます。
3.ペルソナを完成させる
最後に、整理されたデータを使ってペルソナを作成します。
これまでの情報に基づいて、性別や年齢、家族構成、職業といったペルソナの骨組みを書き出します。
この際、より具体的に想像できるよう、テキスト以外に写真やイラストなどのイメージを作るのもおすすめです。
ビジュアルイメージは、チーム内でのペルソナの認識のズレを少なくするのに効果的です。
さらに、完成したペルソナに対して検証は必ず行いましょう。リアリティのある人物像になっているか、設定したペルソナが実際にどれくらい存在するのか、検証してみるのもいいかもしれません。
検証した結果、完成度が低いと判明した場合は、情報収集から見直しましょう。
4.ペルソナ設定の注意点
最後に、ペルソナを設定するときに注意したい3つのポイントを解説します。
4.1 収集データの正確性
1つ目は、収集データの正確性に注意しましょう。
ペルソナの設定は、収集するデータの内容次第で人物像が大きく変わってしまいます。
そのため、収集するデータの正確性は重要なポイントです。
正確な情報を集めるには、情報に偏りが出ないようにしなければなりません。
できるだけ多くの人にアンケートやインタビューをしましょう。
ネットに公開されている統計情報などを活用したりする方法もあります。
SNSや、インターネット上の口コミ情報を集める場合は、投稿された内容が本音であるかどうか見極めながら、情報をまとめていきましょう。
4.2 現実的で具体的なペルソナ設定
ペルソナを設定するときの2つ目の注意点は、現実的で具体的なペルソナを正確に設定することです。
現実的なペルソナを設定することができなければ、適切な販促効果は得られません。
陥りやすい失敗としては、理想や思い込みでペルソナを作ってしまうことです。
自社に都合のいいデータばかり反映させ、都合がいい理想のペルソナにしてしまうことは避けましょう。
客観的に設定することができなければ、現実の消費者ニーズと乖離してしまいます。
さらに、具体性があり分かりやすいユーザー像を設定することを心がけましょう。
ペルソナの設定は、さまざまな性格や価値観、趣味嗜好といった要素を加えて、よりリアルな一人の人物像を作り上げることが重要です。
4.3 定期的に見直す
ペルソナは、一度作ればそれで終わりではなく、定期的な見直しが必要です。
環境や市場の状況によって、顧客の動向は常に変化していく可能性があります。
最初にペルソナを作った段階で想定していた人物像と、現在の人物像が食い違ってくることもよくあります。
それゆえに、定期的にペルソナのブラッシュアップを行い、社会の変化に対応しましょう。
5.まとめ
ペルソナの基礎知識や設定方法など、解説してきました。
マーケティングを成功に導くためには、顧客のニーズを的確に理解しなくてはなりません。
そのために、具体的なペルソナの設定が必要です。
ペルソナ設定は時間とコストがかかり、簡単なものではありませんが、ユーザーニーズが複雑化・曖昧化している今、ぜひ活用したいものです。
この記事を参考に、効果的なペルソナ設定を行ってみてはいかがでしょうか。