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近年、さまざまな場所で耳にする「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」。
「足で稼ぐ」「泥臭い」というイメージが根強い営業現場でも、ついにDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が訪れ、企業の成長にとって不可欠な取り組みとなってきました。
本記事では、これまでのBtoB向けの営業手法に限界を感じている経営者様や営業責任者様向けに、営業DXの必要性から、新規リードを獲得するオンライン営業の具体的な手法、成功のポイントまでを解説していきます。
1.営業DXとは
そもそもDXとは「IT技術を活かし、既存手法をおり良いものへと変革させる」という概念です。
それでは、「営業」とはなんでしょうか?
欧米では、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスと、プロセスごとに明確に分けて組織化、管理されることが多いです。
しかし、日本においての営業とは、名刺獲得から受注、顧客満足度の向上まで幅広いプロセスを指すことがほとんどです。
つまり、営業DXとは、「IT技術を活かし、顧客との接点作りから売上を最大化するまでのプロセスを変革させる」ことを目指します。
2.営業DXとデジタル化の違い
DXと混同されやすい概念が「デジタル化」です。
企業活動におけるデジタル化(デジタライゼーション)とは、既存業務の一部をITツールで代替することを指します。
簡単な例では、「郵送からメールへの変更」「紙資料からタブレット端末でのデータ表示への転換」などです。あくまで目的はコスト削減や省力化でした。
一方、営業DXでは、単なる既存の手法代替にとどまらず、「IT技術を活かすことで営業プロセス自体を大幅に変え、売上を最大化すること」を指します。
3.なぜ営業DXが必要なのか
それでは、なぜいま営業DXを必要とされているのでしょうか。
一番大きなキッカケとなっているのは、新型コロナウイルスの流行です。
新型コロナウィルスの流行によって、長らく変わらなかった日本の商習慣も大きく変わりました。
まず、1つ目は緊急事態宣言などにより、BtoB企業の新規名刺情報獲得(リード獲得)の生命線であった「展示会」の開催が出来なくなったことです。
また開催できたとしても、これまでと同等の集客をすることが難しくなり、新規リードの供給が止まってしまいました。
そして、2つ目は感染拡大を防ぐ観点から、企業に置けるリモートワーク/在宅勤務が大幅に普及した事です。リモートワーク/在宅勤務が常態化した結果、オフィスから社員が消え、訪問営業はもとより、これまで多くの企業が取り組んでいたテレアポの担当者接続率が大幅に落ち商談確保が出来なくなりました。
そのような背景から、大手企業から中小企業まで多くの企業がこれまでの手法に限界を感じ、営業DXの必要性を実感していることと思います。
また、インターネットによる情報収集が当たり前となった現代においては、顧客の購買行動も過去とは大きく変わっています。
多くの場合、顧客は営業パーソンと接触前に商品の機能や、価格、競合商品、口コミなどの情報をインターネット上で収集しています。
米国のCorporate Executive Boardが発表した調査によると、顧客の購買プロセスの57%は営業パーソンと会う前に終わっているとも言われています。
つまり、顧客とのオンライン上でのコミュニケーションそのものが売上を作る大きな要素となっています。そのため、営業フローの見直しでもある営業DXは、企業にとってまさに不可欠な取り組みといえます。
4.営業DXのメリット
営業DXは新たな商習慣への対応にとどまらず、取り組み企業に多くのメリットをもたらします。
①生産性の向上
少子高齢化により、人口が減少傾向にある以上、自社の採用活動の難易度は上がり、必然的に営業パーソンの人数確保が難しくなります。
そのような状況下で、企業が成長するためには「一人当たりの生産性アップ」が求められます。
マーケティングオートメーションの活用など、IT技術を駆使した営業DXを図ることにより、リード獲得、ナーチャリング、インサイドセールス、商談という一連の営業活動の中で、人が対応するフェーズを絞り込むことが可能となり、生産性の向上が期待できます。
②属人性の排除と営業の標準化
営業は業務特性上、とても属人化しやすく、
「顧客情報は営業パーソンの頭の中にだけ存在する」
「営業パーソンごとにヒアリング内容が大きく異なる」
「そもそも誰がどのように提案しているか把握できておらずノウハウが蓄積しない」など、
多くの企業が課題を感じているかと思います。
そのような課題を解決するために、SFA(Sales Force Automation)やCRM、セールスイネーブルメントツールの導入により、顧客情報の社内共有や、行動の見える化、ノウハウの吸い上げと展開が可能になります。またオンライン商談が増え、商談への同席や録画が可能になったことも追い風となっています。
5.オンラインでBtoB新規リードを獲得する7つの手法
まずは、営業活動の起点となる「リード獲得」に焦点を当てて解説します。
ターゲットとなる顧客がオフィスから消え、展示会で会うこともできず、オンライン上での顧客対応がマストになった現代において、従来の展示会やテレアポに頼らず、新規リードを獲得するための7つの手法を解説します。
5.1 Web広告
特定のキーワードを検索した時に、検索結果の上部に広告を出現させるリスティング広告や、
ブラウジングしている際に、サイト内の特定の場所にバナーを出現させるディスプレイ広告によって、自社のサービス訴求するランディングページ(LP)へ流入させる手法です。
代表的なものとしてGoogle広告、Yahoo!広告、Criteoなどがあります。
WEB広告は、ステータスピラミッド(図4参照)の理解と対応するそれぞれの手法を理解して出稿することが成功のポイントです。
ステータスピラミッドとは、顧客の行動による購入可能性を示した図です。
上部に行けば行くほど購入可能性は高く、そのターゲットは少なくなります。
最上部の検索中は、まさに「いま」その情報を探している顧客であり、最も購入可能性が高いため、
リスティング広告はほとんどの場合、大きな効果が期待できる有効な施策です。
このリスティング広告の効果を最大化させるためには、「出稿キーワードの設定」と「受け皿となるランディングページ(LP)の品質を見直し」が必須です。
下記の記事では、それぞれを解説しております。
また、ディスプレイ広告では、細かいターゲット指定が可能です。
年齢層や、エリア、時間に加え、一度サイトに訪れたことのあるユーザーや、競合他社の情報を見ているユーザー、特定のカテゴリーに興味関心があるユーザー、特定のジャンルのサイトにのみ出稿するなど、様々な切り口から指定が可能です。
特に出稿するべきは、ステータスピラミッドの上から2階層目の「過去検索/訪問」に対応する、一度サイトを訪れたユーザーに対して広告を出稿する「リマーケティング」と、特定のキーワードを検索したことがあるユーザーや競合サービスのサイトを閲覧しているユーザーをターゲティングする「カスタムインテントオーディエンス」です。
こちらも設定方法など、下記の記事で詳細に解説しております。
5.2 SNS
近年、SNSでの情報収集は当たり前となり、Google検索をすることを「ググる」というように、TwitterやInstagram上で#(ハッシュタグ)を利用して検索すること「タグる」といわれるくらい、SNS上での情報収集は当たり前になっています。
BtoBのリード獲得においても、SNSへ取り組む効果は大きく、自社サービスをターゲットに届けるために取り組むべき必須のチャネルです。
ひとくちにSNSいっても、Facebook、Instagram、Twitter、linkedin、LINEなど様々なSNSがありますが、BtoBリード獲得に最も効果的なのが、Facebook広告です。
Facebookの利用者は30代以上のビジネスパーソンが多く、またメッセンジャーをビジネス上のコミュニケーションツールとして利用していることも多いため、Facebookは、BtoBサービスを広告宣伝するにはとても適しています。
また、Facebook広告は、登録情報に基づき役職ターゲティングや、興味関心ターゲティングなど、そのターゲティング精度の高さも大きな魅力です。
Facebook広告の設定から運用改善の方法については、下記の記事にて解説しています。
5.3 コンタクトフォームDM
コンタクトフォームDMとは、それぞれの企業が持つコーポレートサイトの問い合わせフォームに対して、メッセージを打ち込む手法です。
HPからの問い合わせは、会社規模によって経営者/役員クラスが直接確認することも多くあるため、自社の情報を決裁権者に届け、問い合わせを獲得する有効な手法です。
このコンタクトフォームDMの送付先のリスト作成から、一括送信するまでの機能を兼ね備えたツールもあります。
コンタクトフォームDMで反響を獲得するためのコツは、「送付先リストの精度」と「興味を引くベネフィット設計」です。
「送付先リストの精度」はそのままですが、「興味を引くベネフィット設計」とは、どんなものでしょうか。
一言でいえば、単に自社サービスの案内をする「押しつけ型」ではなく、送付するターゲット企業にとって、「有益かつリスクのない情報提供」です。
例えば、
「弊社はBtoB企業の営業DX支援サービスーON-Sale(オンセル)ーを提供しています。
もし、興味がありましたらお打合せさせていただけないでしょうか?」
のような押しつけ型の文章ではなく、
「○月○日にBtoBの新規リード獲得をテーマとしたセミナーを開催します。
本セミナーでは、営業DXに取り組み、1年で毎月50件以上の新規リード獲得体制の構築に成功した事例を紹介します。もしご興味があれば是非ご参加ください」
上記のような「有益かつリスクのない情報提供」を念頭に置いたDMメッセージの作成が成果を上げるポイントです。
5.4 SEO(コンテンツマーケティング)
SEO施策は、ステータスピラミッドにおける顕在層はもとより、潜在ニーズを持つユーザーへのアプローチとして非常に有効です。
具体的なキーワードで考えていきます。
マーケティングファネル上、検索キーワードには4つの段階があります。(図5)
認知フェーズ :課題は認識しているが解決策は知らない
興味関心フェーズ :課題解決手法を知りたい
比較・検討フェーズ:複数の類似サービスから検討している
購入フェーズ :特定の商品を購入しようとしている
このファネルの中で最上部にあたる認知ワードは購入からの距離は遠く、コンバージョンにつながる可能性が低くなります。そのため、クリック毎に費用が発生するリスティング広告では、無駄クリックが増え、費用がかさむため狙うべきではありません。
しかし、認知ワードの検索数は非常に多いのも事実です。
より多くのターゲットに自社サービスの認知を図るためには、SEO(コンテンツマーケティング)によるアプローチが効果的です。
また課題を感じ、ニーズを抱いた初期の段階からターゲットにアプローチすることで、エポークドセット(商品購入検討時の選択肢)に入る可能性を高めることができます。
5.5 ウェビナー
以前からセミナー営業はありましたが、新型コロナウィルスの流行に伴い、急激に取り組む企業が増えたのがウェビナー営業です。
展示会がなくなったことで困っているのは、なにも売り手の営業パーソンだけではありません。
同時に、商品や解決策を探している買い手となる企業担当者も情報不足に陥っています。
自社のサービスを認知してもらい、どんな課題をどのような手法で解決できるのかをアピールすることができるウェビナーはBtoB営業において、もはや必須の営業手法となりました。
ウェビナー営業では、
1..ターゲットの課題や興味を捉え、魅力的なテーマを設定できるか(集客)
2. ウェビナー参加者の自社サービスへのエンゲージメントを高められるか(内容)
上記2つが大切です。
集客の観点では、単に人数を集めるだけでなく、本当にターゲットとなる企業担当者を集められているかが大切です。
例えば、弊社の営業DX支援サービスである「ON-Saleーオンセルー」の場合は、決裁権者が経営者様や事業責任者が有効ターゲットであるため、より彼らの課題感に沿ったテーマ設定が必要です。
具体的には、「広告設定ノウハウ」などの戦略実行時の課題を解決するセミナーよりも、「会社の業績/売上アップに貢献する戦略の提案」や、実際に大きな成果を上げている「他社の事例」をテーマにセミナー開催したほうが、有効なリードは増加します。
また、内容も当然ターゲットの期待を裏切らない密度の高いものにする必要があります。
「自社サービスの説明に終始したセミナー」や、「抽象的で具体的なネクストアクションを示さないセミナー」ですと、せっかく集まってくれたターゲットを失望させることになり、逆効果となってしまうため、セミナー企画をする際は、必ず「課題解決型のセミナー」を意識しましょう。
効果の高いウェビナーを実施するための第一歩としては、ターゲットの明確化(ペルソナ設定)が不可欠となります。
まずは、自社サービスの解決できる課題を明確にし、その課題を抱えているのはどんな相手なのかを突き詰めることから始めましょう。
5.6 オンライン展示会
オンライン展示会とは、言葉の通り、オンライン上で行っている展示会イベントです。
コロナ禍で従来の展示会が実施できなくなったことで、各社がオンライン上でのイベントに切り替えて開催しています。
多くのオンライン展示会の仕組みとしては、ブースに代わる企業ページをプラットフォーム内で作成することにより、そのページに訪れたユーザーや、資料ダウンロードしてくれたユーザーのリードを獲得できる仕組みです。
従来のリアルイベントでは、直接の接触や名刺交換が必要でしたが、オンラインになることで、特に名刺交換などをせずとも、訪れたユーザーのリストを獲得出来たり、ページ内での行動履歴などをデータとして残すことができます。
オンラインになったことで、出展料金が低く設定されたイベントも数多くあるため、自社サービスのテーマに合うオンライン展示会を探し、参加することで新規リード獲得につながります。
(代表的なオンライン展示会)
・ITトレンドEXPO
・DMMオンライン展示会 など
5.7 セールスマッチングプラットフォームサービス
自社提供サービスの販促を強めたい企業と、課題を抱えた企業とのマッチングプラットフォームも増加しています。自分の人脈を他社の担当者とシェアするサービスや、顧問の紹介サービス、メーカーと代理店とのマッチングサービス、経営者クラスとの商談創出サービスなど、コロナ禍において、新規商談の獲得に寄与する様々なサービスが生まれています。
自社サービスに合うプラットフォームを見つけ利用することも検討しましょう。
【代表的なサービス】
・ビザスク
・チラCEO
・Sales Hub
・比較Biz など
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は営業DXの概要から必要性、新規リードを獲得するための具体的なオンライン営業手法とその成功のポイントをご紹介しました。
営業組織のDX化は、生産性の向上、収益アップ、脱属人化、商圏の拡大など、多くのメリットがあります。
しかし、既存の手法から変える場合は、当然反発も大きくなります。営業DXの専門化とともに、DXの目的を明確にし、社内でDX推進チームをつくり、改革を進める必要があります。
営業DXを実現することで、新規顧客の獲得による売上利益の向上、さらには働き方改革による従業員のエンゲージメント向上にもつながります。