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Google検索広告の中で、機械学習を活用した「レスポンシブ検索広告(RSA:responsive search ads)」が注目されつつあります。
現在、Google検索広告の推奨設定は、「レスポンシブ検索広告1件+拡張テキスト広告2件」となっていますが、
2022年6月30日より拡張テキスト広告の新規作成・編集ができなくなります。
なお、既存の拡張テキスト広告は引き続き配信可能です。
レスポンシブ検索広告とは、あらかじめ広告見出しや説明文などを
複数パターン(見出しを15個、説明文を4個)登録することができるタイプの広告です。
登録した広告見出しや説明文を自動的に組み合わせて広告を表示します。
選ばれる広告見出しは多くても3個、説明文は2個までと決まっています。
レスポンシブ検索広告には、スマホ、パソコン、タブレットなどの
掲載面が異なるデバイスに応じてレイアウトを自動調整する機能があります。
そのため、デバイスごとに最適化した表示が可能です。
これまでレスポンシブ検索広告を「実装したことがない」「実装してみたけど良い成果が得られなかった」という方も多いのではないのでしょうか。レスポンシブ検索広告の特徴と強みを活かせていない可能性が高いです。
この記事では、レスポンシブ検索広告のメリットデメリットから今後の動向まで徹底解説します。
1.レスポンシブ検索広告のメリット
レスポンシブ検索広告では見出しを15個まで、説明文を4個まで登録できます。登録した広告文を自動的に組み合わさて配信することでユーザーの検索ニーズに適した広告を適した状況下で表示させることができます。
まず、レスポンシブ検索広告のメリットを3つご紹介します。
- 広告の表示スペースが増える
- 拡張テキスト広告より成果の向上が見込める
- 広告文のテストを効率化できる
それぞれ詳しく解説していきます。
1.1 広告の表示スペースが増える
それぞれのデバイスの幅にあわせた柔軟な広告が表示されることができます。
そのため、拡張テキスト広告よりもより広い範囲、もしくは逆に文字数を絞るなど、効率的に広告を発信することができます。
・デバイスの幅に適応した柔軟な広告が作成されるため、さらに広いスペースを使って見込み顧客にメッセージを伝えられます。
Google広告ヘルプ
例えば、画面サイズの小さいスマートフォンでは、
拡張テキスト広告の場合、設定した広告文の文字数が多く、読みにくくなってしまうケースがありました。
レスポンシブ検索広告では見出しと広告文を1つにして、広告の視認性を上げるといった対応ができます。
これによってデバイスによって広告が読みづらいといったことがなくなり、広告スペースの有効活用に繋がります。
1.2 拡張テキスト広告より成果の向上が見込める
レスポンシブ検索広告は、さまざまなデバイスに対応できるため、
一般的な広告と比べると表示回数の増加が期待できます。
また、複数の説明文や広告見出しの登録ができ、自動的にユーザーに最も関連性の高い組み合わせを表示できるので、正しく設定すれば検索語句との一致率が高まります。
その結果、オークションでの入札数が増えるため、より多くの顧客へのアプローチも可能です。
このようにユーザーの検索状況に適した広告表示の回数が増えることによって、CTR(クリック率)、CV数(コンバージョン数:獲得数)の向上が見込めます。
・広告見出しと説明文を複数入力することで、検索語句の一致率が高まり、オークションでの入札数が増えるため、より多くの見込み顧客にアプローチできます。
Google広告ヘルプ
・レスポンシブ検索広告によってオークションでの競争力が高まるため、既存のテキスト広告で獲得できていないクリックやコンバージョンを獲得して、広告グループのパフォーマンスを改善することが可能です。
1.3 広告文のテストを効率化できる
広告テストの効率化も大きなメリットです。
拡張テキスト広告で広告見出しなどの組みあわせを試す場合、
各パターンを組みあわせてそれぞれ入稿しなければならず、時間や労力が非常にかかります。
しかし、レスポンシブ検索広告の場合には、
複数の広告文を機械学習により自動で組みあわせて、検索語句と関連性の高い組み合わせを表示できるため、時間や手間をかけることなくユーザーへの訴求効果を高められます。
・複数の広告見出しと説明文のオプションを入力すると、ユーザーに最も関連性の高い組み合わせの広告が自動的に表示されるため、時間を節約できます。
Google広告ヘルプ
2.レスポンシブ検索広告のデメリット
デメリットは主に下記の2点になります。
- 分析がしにくい
- 審査に落ちやすい
詳しく解説していきます。
2.1 分析がしにくい
レスポンシブ検索広告で把握できる指標は「表示回数」のみとなりますので、細かい分析はできません。
レスポンシブ検索広告は、さまざまなパターンを自動で組みあわせて広告配信をします。
表示された組みあわせを知ることができるのですが、組み合わせ別による優劣も確認することはできません。
2.1 審査に落ちやすい
レスポンシブ検索広告は、通常の拡張テキスト広告よりも審査に落ちる可能性が高いです。
審査落ちする可能性のある例として以下のようなケースがあります。
■見出しが類似している
「腰痛改善には△△」「腰痛を改善したいなら△△」
■特定のキーワードが3つ以上使用されている
「腰痛改善」「これで腰痛を治す」「腰痛の原因は」
3.レスポンシブ検索広告の入稿規定
Googleレスポンシブ検索広告では、入稿規定が定められています。
以下の表のように広告見出しや説明文を複数登録し、さまざまなパターンの広告配信が可能です。
設定前にしっかりと確認しましょう。
アセット | 入稿可能数 | 文字数 |
---|---|---|
見出し | 3~15個 | 30文字以内 |
説明文 | 2~4個 | 90文字以内 |
表示URL | 0~2個 | 15文字以内 |
広告見出しは最低でも3個、説明文は最低でも2個は設定しなければいけません。
表示URLについては最大2個まで設定できますが任意となるため、設定しなくても構いません。
4.レスポンシブ検索広告の設定方法
入稿規定をしっかりと把握できたら、広告を入稿していきましょう。
以下では、設定方法を4段階で紹介します。
1.レスポンシブディスプレイ広告と同様 〔広告と広告表示オプション〕をクリックして、〔広告〕の青い丸の〔+〕ボタンをクリックします。
2.〔+レスポンシブ検索広告〕をクリックします。
3.広告見出し(少なくとも 3 つ、最大 15 個まで入力できます)、
説明文(少なくとも 2 つ、最大 4 つまで入力できます)、
最終ページURLに加えて任意で表示URL、URLオプションをそれぞれ入力します。
入力するとすぐに、広告のプレビューが右側に表示されます。
4.入力完了後「保存」をクリックして完了です。
効果については管理画面の広告タブより確認できます。
複数設定した見出しや広告文のそれぞれの組み合わせの結果については、「アセットの詳細を表示」より確認できます。
5.拡張テキスト広告の新規作成と編集が不可に
冒頭でもご紹介したとおり、2022年6月30日より拡張テキスト広告の新規作成・編集ができなくなります。なお、既存の拡張テキスト広告は引き続き配信可能です。(Google公式ヘルプ)
将来的には、レスポンシブ検索広告が通常の検索キャンペーンで作成または編集できる唯一の検索広告タイプとなります。
今回の変更によって、検索広告の作成方法が簡素化され、自動化ツールを使って簡単にパフォーマンスを高めることができるようになります。
2021年10月現在は管理画面で拡張テキスト広告を作成しようとすると、次のようなモーダルが表示されるようになっています。
5.1 既存の拡張テキスト広告は配信可能
入稿したい広告文のパターンが明確にある場合は、自動で組み合わされてしまうレスポンシブ検索広告ではなく、拡張テキスト広告を活用するほうが効果的です。
新たな拡張テキスト広告の作成・編集はできなくなりますが、
既存の拡張テキスト広告の配信自体は継続することができます。
また、配信結果をパフォーマンスレポートで確認したり、
必要に応じて拡張テキスト広告の一時停止、再開、削除も必要に応じて可能です。
電話専用広告と動的検索広告は、引き続き作成および編集することができます。
とはいえ、仕様変更が発生するぎりぎりまで、拡張テキスト広告のみに依存することはおすすめできません。
レスポンシブ広告をまだ実装したことがない場合はなおさら、今のうちに公式ヘルプを確認したり、実際の管理画面で挙動を確認しておきましょう。
5.2 広告グループの推奨設定
以前のGoogle 広告では広告グループごとに2つ以上の拡張テキスト広告と1つのレスポンシブ検索広告が推奨設定とされていました。
現在では、広告グループごとに少なくとも1つのレスポンシブ検索広告(広告の有効性が「良好」または「優良」)を設定することが推奨されています。
また、キャンペーンや広告グループごとに 4 個以上の広告表示オプションを使用します。
広告表示オプションを使用すると、広告を目立たせビジネスに関する有用な情報を表示できます。
適切な広告表示オプションを設定すると、広告がユーザーの特定のニーズを満たす機会を増やすことができます。
推奨設定をどこまで加味するかは広告運用者次第ですが、今一度媒体のスタンスを把握したり、設定上できることやできないことを再確認する良い機会かもしれません。
6.まとめ
レスポンシブ検索広告では、
検索ワードに対して複数の見出しや説明文、表示URLなどを設定することで、
様々なパターンを自動的に組みあわせて表示させることができます。
ユーザーの検索語句やデバイスなどに応じて表示させることができるため、オークションでの競争力を高めることができます。
つまり、広告作成の時間や労力を軽減しながらも、広告スペースの増加や広告テストの効率化を行い、クリック率やコンバージョン数の増加を期待できるといった大きなメリットがあります。
レスポンシブ検索広告を活用することで、ビジネスの戦略的な取り組みにより多くの時間を費やせるようになります。
現状、公式の推奨設定は、1つの広告グループに対してレスポンシブ検索広告1件+拡張テキスト広告2件となっています。
レスポンシブ検索広告のみという推奨にしていませんので、完全自動化には踏み切っていないともいえます。
現段階では、人がつくったお手本のデータを基準にしないと、理想的な成果が出せないからでしょう。
人が得意なことと、機械学習が得意なことの違いを見極めつつ、
レスポンシブ検索広告上手に取り入れ、積極的に活用してきましょう。