【イベントレポート】HubSpot社主催「INBOUND 2025」に参加してきました
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2025.09.17
2025.09.17
今回、米国サンフランシスコで開催されたHubSpot社主催のグローバルカンファレンス「INBOUND 2025」に初めてナウビレッジも参加してきました。
AIが社会のあらゆる側面を変えつつある現代において、私たちはどのように存在感を発揮し、ビジネスを成長させていくべきなのか。「INBOUND 2025」は、まさにこの問いに深く向き合う、示唆に富んだイベントでした。
本記事では、イベントで発表されたAI時代のマーケティング新戦略「ループマーケティング」と、それを実現するためのHubSpotの新機能について、詳しくレポートします。
▼この記事の要約
・INBOUND 2025は、AI時代のマーケティングが直面する課題と、それに対するHubSpotの新しい答えを提示したイベント
・「ループマーケティング」という新戦略のもと、人間とAIが協働する「ハイブリッドチーム」がこれからのビジネス成長に不可欠であると提唱された
・新たなロゴとともに、Smart CRM、Data Hub、Breeze Agentsなど、AIを活用した革新的な機能が多数発表された
・これらの新機能は、データ統合、人材強化、そしてAIチームの構築を通じて、マーケティング・営業・カスタマーサービスの業務を劇的に効率化し、顧客との関係構築を支援
こんな方におすすめ
- AI時代の新しい集客方法やマーケティング戦略を探している方
- 従来のやり方で成果が出ず、閉塞感を抱えている方
- 少ないリソースでも効率的にビジネスを成長させたい方
- HubSpotの最新動向や新機能について、いち早く知りたい方
- AIをビジネスにどう活かせばいいか、具体的なヒントが欲しい方
HubSpotの運用にお困りではありませんか?
- ・HubSpotの最新機能の使い方がわからない
- ・どの機能が自社に必要かわからない
- ・HubSpotのAI機能を利用したい
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目次
INBOUND 2025とは?
「INBOUND 2025」の概要

INBOUNDは、HubSpotが主催する世界的なイベントです。
今年は、9月3日~5日の3日間にかけて、イノベーションの中心地である米国サンフランシスコで開催されました。
AIが社会のあらゆる側面に浸透する現代において、イベントのテーマは「人間は社会でいかに存在感を発揮し、居場所を見つけるか」という深い問いに焦点が当てられました。
これは単に生産性の問題にとどまらず、「私たちが何をするか」ではなく「私たちが誰であるか」、そして「どのように成長していくか」という、人間のアイデンティティーに関わる本質的なテーマを問い直す機会に感じました。
「INBOUND 2025」で発表されたこと
発表されたことは多くありましたが、その中でも着目すべき点は以下の3つでした。
・新戦略「ループマーケティング」の提唱
従来の直線的なマーケティングから脱却し、人間とAIが協働しながら常に学習・進化する新しいマーケティングアプローチが提唱されました。
・「ハイブリッドチーム」の概念
人間が判断力や戦略を担い、AIがスピードと実行力を提供する、人とAIが隣り合わせで働くチームの重要性が強調されました。
・HubSpot新機能の発表
ループマーケティングとハイブリッドチームの実現を支援するため、「Smart CRM」「Data Hub」といったデータ統合基盤、コンテンツ作成や個別化を支援する「Marketing Studio」「AI搭載Eメール」、そしてデジタルチームメンバーとなる「Breezeアシスタント」「Breeze Agents」など、大規模なプラットフォームの刷新が発表されました。
AI時代のマーケティング新戦略「ループマーケティング」とは?
ループマーケティングの概要
INBOUND 2025では、HubSpotが新たに「ループマーケティング(The Loop Marketing)」という新しい成長戦略を提唱しました。
ループマーケティングとは、従来の「ファネル」のように直線的に顧客を絞り込む手法とは異なり、顧客との関係を築き、常に学習し、進化し続ける「ループ」として捉える新しいマーケティングの考え方です。
ループマーケティングが提唱された背景
AIが台頭した現代において、「ファネル」のような直線的な手法はもはや機能不全に陥っており、HubSpotは、その背景にある深刻な課題として、以下のような点を指摘しています。
・Google検索の変化とゼロクリックの増加
AIによる検索結果の要約が直接表示されるようになったことで、多くのユーザーはクリックせずに情報を得ることができるようになっており、その結果、企業のウェブサイトへのトラフィックが減少し、ビジネス需要の予測が難しくなっている
・オーガニックトラフィックの減少と広告費の高騰
AIがトラフィックを傍受することで、多くの企業でオーガニックトラフィックが大幅に減少しており、その結果、企業は失われたトラフィックを補うために広告に過剰に投資し、結果として広告費が高騰し、エンゲージメント率の低下を招いている
・消費者行動の複雑化(AI ADD)
消費者はもはや一直線に動かず、TikTok、YouTube、Redditなど、さまざまな情報源を飛び回る複雑な行動を示すようになっており、従来の単純な消費者ジャーニーを前提としたマーケティング手法は通用しなくなってきている
ループマーケティングの4つのフェーズと対応するHubSpot機能

ループマーケティングは、以下の4つのフェーズで構成されています。
それぞれが互いに連携して機能することで、動的で継続的な顧客との関係構築を可能にします。
フェーズ1: Express(表現)- ブランドの声を明確に定義する

最初のフェーズにおける鍵は、AIに任せきりにせず、人間がブランド独自の「声(ボイス)」や「アイデンティティ」を明確に定義することです。
顧客に関するデータをHubSpot CRMで収集し、それを基にブランドスタイルガイドを作成します。この確固たる基盤があれば、AIは強力なツールとして機能し、コンテンツを「注目に値する(remarkable)」ものへと増幅させることができます。
フェーズ2: Tailor(個別化)- 大規模なパーソナライゼーションを実現する

もはや、単に顧客の名前を挿入するだけのパーソナライズは通用しません。このフェーズでは、顧客一人ひとりの行動履歴や興味に基づいて、「非常にパーソナルに感じる」メッセージをAIが生成し、展開することがポイントです。
HubSpotのData Hubを活用し、ウェブサイト訪問履歴などの非構造化データをAIに与えることで、個々の顧客に最適化されたメールやランディングページを生成します。実際にHubSpotのテストでは、この個別化によりコンバージョン率が82%も向上したという驚くべき成果が出ています。
フェーズ3: Amplify(増幅)- 顧客のいる場所でメッセージを届ける

このフェーズでは、「AEO(AIエンジン最適化)」が重要な役割を果たします。
従来のSEO(検索エンジン最適化)の原則「顧客に価値あるコンテンツを作成する」は変わりませんが、AIが情報収集の主役となった今、コンテンツ戦略も変化が必要です。
・超ロングテールコンテンツの作成
AIはユーザーの過去の行動を記憶し、パーソナルな回答を生成します。そのため、広範なガイドではなく、特定のペルソナの具体的な質問に答える「ハイパーロングテールコンテンツ」を作成することが効果的です。
・「ブランド言及」の増加
被リンクだけでなく、RedditやLinkedIn、Quoraなどのプラットフォームでブランドが言及される「ブランド言及数」が重要になります。顧客がいるフォーラムに積極的に関与し、良い口コミを広めてもらうことが、AIエンジンに自社を推奨させる上で不可欠です。
HubSpotのデータによると、AIエンジンからの訪問者は、コンバージョン率が3倍も高いという結果が出ており、新たな顧客獲得チャネルとして非常に重要です。
フェーズ4: Evolve(進化)- 迅速な学習とリアルタイム最適化

このフェーズで最も重要なのは、「学習する力」です。
AIの進化が非常に速い現代では、市場の状況や顧客の行動は常に変化しています。そのため、何か施策を実行して2ヶ月後の結果を待つのではなく、「明日」には次の行動を起こすような、迅速な意思決定と改善の繰り返しが求められます。
ループマーケティングを実践するために必要な「ハイブリッドチーム」
HubSpotは、ループマーケティングを実践するために不可欠な組織体制として、「ハイブリッドチーム」の構築を提唱しています。
ハイブリッドチームとは、人間とAIエージェントが「隣り合わせ」で働く新しいチームの形です。AIを単なるツールとして使うのではなく、学習し、仕事を実行する「同僚」として位置づけます。
・人間は「リード」する役割
ブランドのテイスト、戦略、そして判断力をチームに加え、全体の方向性を決めます。
・AIは「加速」する役割
スピード、スケール、そして実行力を提供し、人間の能力を何倍にも増幅させます。
このような役割分担により、顧客ジャーニーのあらゆる段階で、より創造的で優れたソリューションを生み出すことが可能になるとしています。
INBOUND2025を皮切りに登場した主な新機能

INBOUND 2025を皮切りに、HubSpot製品全体でさまざまな点が新しく刷新されました。
以下は主に挙げられる変更点・新機能です。
HubSpotロゴ、製品ロゴ、製品ページが刷新
INBOUND 2025では、ループマーケティングとハイブリッドチームの実現を支援するため、HubSpotプラットフォーム全体が大規模に刷新されました。
それに伴い、HubSpotのロゴ、製品ロゴ、製品ページも一新され、よりシンプルで洗練されたデザインへと生まれ変わっています。
詳細は、各製品ページをご確認ください。
データ統合
ループマーケティングの基盤となるのが、統合されたクリーンなデータです。HubSpotは、その基盤を支える機能を強化しました。
・Smart CRM
ハイブリッドチームの「頭脳」となる新しいCRMです。コールの文字起こしやサポートチケットなど、これまで埋もれていた非構造化データ(全データの約80%)を自動で取り込み、顧客の全体像を深く理解できるようになりました。プロジェクト管理機能も追加され、業務効率をさらに高めます。
・Data Hub
旧Operations Hubが刷新されました。外部データを含むすべてのデータを一箇所に統合する新しい拠点です。データ品質ツールも搭載されており、重複の削除や欠落情報の補完を自動で行い、AIが最大限に能力を発揮できるクリーンなデータ基盤を構築します。
人材強化
人間がクリエイティブで戦略的な仕事に集中できるよう、強力なツールが多数発表されました。
・Marketing Studio
コンテンツ作成の新しい拠点です。たった一つのアイデアから、AIがSNSコンテンツやマーケティングEメールなど、完全なマルチチャネル戦略をマッピングしてくれます。
・AI搭載Eメール
CRMデータに基づき、コンタクト一人ひとりに合わせたパーソナルなメールを自動で作成し、最適なタイミングで送信します。HubSpotのテストでは、コンバージョン率が82%も向上しました。
・AIエンジン最適化機能(AEO)
人々がAIを通じてビジネスを探すときに、LLMの回答に表示されるための推奨事項を提示します。これにより、AIからのトラフィックを正確に把握できるようになります。
・AI搭載CPQ(Commerce Hub)
Smart CRMのコンテキストに基づいて、成約率を高めるための見積書を自動生成します。パーソナルな提案書作成から電子署名までを統合し、商談プロセスを効率化します。
AIチーム構築
HubSpotは、AIを単なるツールではなく、人間の同僚として働く「デジタルチームメンバー」として位置づけ、そのための機能を強化しました。
・Breezeアシスタント
ユーザーが働くあらゆる場所で利用できる、あなたのパーソナルアシスタントです。会議の準備や取引履歴の概要作成など、日々の業務を効率化してくれます。
・Breeze Agents
特定の作業を最初から最後まで自動で処理するデジタルチームメンバーです。
・顧客対応エージェント
サポートチケットの65%以上を自動解決し、ウェブサイト訪問者をリードに変えるなど、顧客との接点を自動化します。
・データエージェント
競合調査や見込み客情報の収集といったオペレーション業務を24時間体制でサポートします。
・案件創出エージェント
見込み客の全体像を把握し、アプローチ戦略を作成することで、より良いパイプライン構築を支援します。
・LLMコネクター
HubSpotは、ClaudeやChatGPTに加え、新たにGeminiとの連携を発表しました。LLM内でHubSpotの顧客インサイトを活用し、より効果的なアクションへと繋げます。
HubSpotに関するご相談はナウビレッジへ

いかがでしたか?
AI時代に突入し、マーケティングは大きな変革期を迎えています。
INBOUND 2025で発表された新しいアプローチと機能は、業界を問わず、ビジネス成長を力強く後押ししてくれるはずです。
弊社は、HubSpotの導入から今回発表された新機能の活用支援まで、お客様のビジネス課題に合わせた伴走型の支援を提供しています。
「AI時代に自社のマーケティングをどう変革すればいいのだろう?」
「HubSpotの新機能について、もっと詳しく知りたい」
そのようにお悩みでしたら、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
貴社のビジネス成長を加速させる最適なご提案をさせていただきます。
この記事を監修した人
髙山博樹
ナウビレッジ株式会社 取締役CMO
兵庫県出身。東京工業大学 修了。上場企業で勤務後に参画。広告・SEO・Webサイトといった多様な集客手法とCRM/SFA/MAに精通し、これまでマーケティングのコンサルタントとしてマーケティング戦略の策定から実行(サイト制作や広告運用、SEOなど)を経験。取締役CMOとして年間自社リード250件の体制構築やサービス戦略の策定などに従事。HubSpot導入・構築支援サービス責任者。
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